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黄色ブドウ球菌食中毒の原因とは?食中毒事例や予防法を紹介

黄色ブドウ球菌食中毒の原因とは?食中毒事例や予防法を紹介

食中毒対策食中毒菌

食中毒

春や秋など過ごしやすい季節は、お弁当を持って花見や紅葉狩りをする人もいるのではないでしょうか。

お弁当を調理したり食べたりするときに気を付けたいのが黄色ブドウ球菌による食中毒です。

黄色ブドウ球菌は私たちの皮膚や傷口などに広く分布している菌で、手作りのおにぎりやサンドイッチ、手巻き寿司などが主な原因食品になります。

製造現場でも従業員の手洗い不足や手指の傷からの汚染により、黄色ブドウ球菌が商品に付着し、大規模な食中毒事故に発展することがあるため注意が必要です。

この記事では、黄色ブドウ球菌とは何かその原因や食中毒事例、予防法を紹介します。

黄色ブドウ球菌とは?

黄色ブドウ球菌とは、ぶどうの房のように連なった丸い菌(ブドウ球菌)の一種になります。

黄色ブドウ球菌は、とくに珍しい菌ではなく、私たち人間を取り巻く環境に広く分布している微生物です。

黄色ブドウ球菌は、牛や豚など家畜を含む哺乳類や鳥類のほか、私たち人間にも生息しています。

健康な人の鼻腔・咽頭・腸管にも生息しており、人の保菌率は約40%とも言われているのです。

それだけでなく、化膿菌として傷口や手荒れ、ニキビなどにも黄色ブドウ球菌が存在しています。

黄色ブドウ球菌食中毒の原因

黄色ブドウ球菌食中毒は、黄色ブドウ球菌そのものが食中毒の原因となるわけではありません。

食中毒の原因は、黄色ブドウ球菌が産生する「エンテロトキシン」と呼ばれる毒素です。

エンテロトキシンは、黄色ブドウ球菌が食品中で増殖するときに、「エンテロトキシン」を産生します。

黄色ブドウ球菌は、30~37度の温度帯で活発に増殖するため、食中毒になりやすい原因食品はこの温度帯に近づかないよう管理する必要があります。

黄色ブドウ球菌食中毒の潜伏期間

黄色ブドウ球菌食中毒の潜伏期間は、3時間ほどと非常に短いのが特徴です。

黄色ブドウ球菌食中毒の原因が微生物や細菌そのものではなく、菌が産生する「エンテロトキシン」と呼ばれる毒素によるものだから。

微生物や細菌そのものが原因の感染型の食中毒の場合、菌が体内に増殖してから症状が出るため潜伏期間は長めになります。

一方、毒素が原因の食中毒は菌が体内で増殖することはないため、摂取後すぐに食中毒の症状があらわれます。

黄色ブドウ球菌食中毒の症状

黄色ブドウ球菌食中毒の症状は次の通りです。

黄色ブドウ球菌食中毒の症状

  • 突然の激しい吐き気
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛

高熱が出ることはあまりありませんが、水分が大量に排出されることで脱水症状や血圧低下などを引き起こすことも。

ただ一般的に症状は12時間ほどで落ち着き、回復へ向かいます。

乳幼児や高齢者などはまれに命にかかわるおそれがあり、注意する必要があります。

黄色ブドウ球菌食中毒の原因となりやすい食品

黄色ブドウ球菌が付着することによって食中毒リスクが高まるため、あらゆる食品が原因となりえます。

とくに気を付けたいのがおにぎりや寿司、サンドイッチなど素手で調理する食品です。

また、カレーや煮物など、長時間放置しがちな食品も食中毒リスクが高くなります。

黄色ブドウ球菌による食中毒の発生はその多くが飲食店や仕出し店となっています。

ただ家庭で発生するケースもあり、いずれにせよ調理にかかわる人は気を付ける必要があるでしょう。

黄色ブドウ球菌の特徴

黄色ブドウ球菌は、熱に弱く60℃30分の加熱で死滅します。

しかし、黄色ブドウ球菌が産生する毒素である「エンテロトキシン」は非常に熱に強く、100℃で20分間加熱しても毒素は失活しないため注意が必要です。

一方で塩分に強い菌でもあります。塩分濃度10%で増殖が活発化し、15%以上になっても緩やかに増加するからです。

また30℃~37℃の温度域では活発に増殖しますが、10℃以下の環境下では増殖が抑制されます。

黄色ブドウ球菌食中毒の予防方法

やっかいな黄色ブドウ球菌食中毒ですが、正しく対策を講じることで予防につながります。

ポイントは黄色ブドウ球菌を食材に付着させないことと、増殖させないことです。

以下、効果的な予防方法をご紹介しましょう。

手洗い消毒の徹底

黄色ブドウ球菌食中毒を防ぐため、従業員に手洗い・消毒の徹底をおこないましょう。

黄色ブドウ球菌食中毒はもともと食材に付着していた菌だけでなく、調理者の手についた菌による食材の汚染も大きな原因だからです。

手洗いや消毒の徹底が予防の基本。

黄色ブドウ球菌だけでなく、ノロウイルスなどさまざまな菌やウイルスに対して手洗いは効果を発揮します。

調理の前など食材に触れる前だけでなく、調理中もこまめに手を洗うようにしましょう。

また、アルコール消毒もあわせて行うとさらに効果的です。

手指に傷があるときは絆創膏と手袋を着用

手指に傷があるときは、黄色ブドウ球菌が食材に付着するのを防ぐため、絆創膏を貼りさらに手袋を着用して作業にあたりましょう。

ケガによる傷や手荒れなどには黄色ブドウ球菌が潜んでいるからです。

素手で食材に触れてしまうと、黄色ブドウ球菌が付着し、増殖してしまう恐れがあります。

飲食店や仕出し店、食品工場などで、手に傷や手荒れのある従業員がいる場合は直接食材に触れたり調理をしたりしないよう、担当を変更するのがベターです。

また絆創膏が外れて商品に混入したまま出荷しないよう、事業所で専用の絆創膏を貼るよう指示すると、異物混入を防げます。

青色絆創膏を使用すれば、万が一絆創膏が外れてしまったときも目視で確認しやすく金属探知機にも反応するため、異物混入を防ぐことができるでしょう。

食材の適切な温度管理

食材の適切な温度管理で黄色ブドウ球菌の増殖を防ぎましょう。

黄色ブドウ球菌が増殖してしまうとエンテロトキシンが産生されやすくなり、さらに一度産生されたエンテロトキシンは加熱しても破壊することが難しいからです。

黄色ブドウ球菌は10℃以下になると増殖しにくくなります。

黄色ブドウ球菌が増殖しやすい精肉や鮮魚は冷蔵庫内で保管するなど温度管理を行うことがポイントです。

調理時の十分な加熱

黄色ブドウ球菌食中毒を防ぐため食材は十分に加熱し、調理することを心がけましょう。

黄色ブドウ球菌自体は75度で1分間加熱、または60度で3分間加熱で死滅します。

調理の際には、食材の中までしっかりと火を通すことが重要です。

長時間常温で放置した食品は廃棄

黄色ブドウ球菌食中毒を防ぐため、長時間常温に置いたままにした調理済食品は廃棄しましょう。

増殖した黄色ブドウ球菌から、エンテロトキシンが産生しているおそれがあるためです。

50度以上になると、黄色ブドウ球菌はエンテロトキシンを産出できなくなるといわれていますが、他の食中毒菌のことも考えると保管する場合は60度以上が望ましいとされています。

もし、一度毒素を産生すると再度加熱したとしてもエンテロトキシンを破壊することはできず、食中毒の原因となりかねません。

残った調理済み食品は、再加熱して利用するのは避けましょう。

黄色ブドウ球菌食中毒事例

直近では、2024年2月に兵庫県の飲食店の恵方巻が原因の黄色ブドウ球菌食中毒が発生しています。

恵方巻を食した2歳~91歳までの150人が下痢や嘔吐などの症状を訴えたとのことです。

兵庫県の保健所の検査によると、飲食店の従業員の1人に黄色ブドウ球菌が検出されたため、県は飲食店に対して4日間の営業禁止処分を行っています。

従業員は薄巻き卵でウナギや焼きアナゴ・エビを巻く作業に従事していたとのことです。

また巻き寿司が常温で長時間保管されていたことから菌が増殖し、食中毒が発生したのではないかと推測されています。

まとめ

黄色ブドウ球菌は牛や豚、鳥類などの家禽にはもちろんのこと、私たちの皮膚や傷口などにも生息しています。

黄色ブドウ球菌そのものは、熱に弱く手洗いで洗い流すことが可能です。

食中毒を引き起こすのは、黄色ブドウ球菌が増殖するときに産生される「エンテロトキシン」と呼ばれる毒素で、この毒素は熱や酸に強いため失活させるのが難しくなります。

黄色ブドウ球菌食中毒を防ぐには、黄色ブドウ球菌の増殖を抑えることが重要です。

まとめ

  • 黄色ブドウ球菌食中毒は菌から産生される毒素によって引き起こされる
  • 黄色ブドウ球菌食中毒を予防するには食品に菌を付着・増殖させないことが重要
  • 黄色ブドウ球菌食中毒の予防の基本は手洗いの徹底

食品製造に従事している人は、調理をする前後はもちろんのこと作業の切り替え時も手洗いを徹底しましょう。

また調理を担当する従業員が手指にけがをしているときは担当を外すなど、勤務体制を整えることも重要です。

やむを得ず手指にけがをしている従業員を調理担当に従事させるときには、絆創膏だけでなく使い捨ての手袋も着用するよう指示します。

その際、手袋の再使用をしてはいけません。

食品事業者は黄色ブドウ球菌食中毒の危険性や注意点を正しく知り、おいしく、安全な食事を提供するよう勤めましょう。

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【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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