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従業員の健康チェックは衛生管理の基本!リスクから自社に合った管理表を作ろう

従業員の健康チェックは衛生管理の基本!リスクから自社に合った管理表を作ろう

個人衛生

飲食店衛生管理

「従業員の健康チェックの項目には何を入れたらいい?」
「従業員が体調不良の場合、自宅に帰さないとだめ?」
新型コロナウイルスの感染拡大により、食品を扱う事業所や飲食店では、従業員の健康チェックを徹底しているところも多いでしょう。
しかしその健康チェック、本当に機能していますか?
忙しいからと言って、体調不良の従業員を無理して勤務させているということはないですか。
「従業員の健康チェックを怠ると、大規模な食中毒事故に繋がりかねません」
今回は、従業員の健康チェックを行う理由と管理表の作成方法をご紹介します。
従業員の健康チェックを怠ったがゆえに起きた、食中毒の事例もまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

従業員の健康チェックは衛生管理の基本!

従業員の健康チェックは衛生管理の基本!

食品を扱う製造業や飲食店において、従業員の出勤前の健康チェックは重要です。

なぜなら、従業員の提供した商品が原因で、お客様に食中毒の危険を及ぼしてしまう可能性があるから。

たとえば、従業員がノロウイルスに感染したのを隠して食品を扱う仕事に従事してしまうと、製造した商品に菌が付着してしまいます。

お客様が菌に汚染された食品を口にしてしまうと、ノロウイルスに掛かってしまう恐れがあります。

大人であれば、体力も免疫力もあるので軽い症状で済むかもしれません。

しかし、もしその商品が菌への抵抗力の低い小児や高齢が口にするものだったら、命を落としてしまう危険もあるのです。

また健康チェックは、世界規模で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染防止にも役立ちます。

今までの健康チェックに検温や倦怠感などの項目を加えることで、飲食店や製造現場でのクラスターを未然に防ぐことができます。

従業員の健康チェック!管理表にはどんな項目を入れる?

従業員の健康チェック!管理表にはどんな項目を入れる?

従業員の健康チェックが食中毒や新型コロナウイルス感染を防げることは分かりました。

では、出勤前の従業員の健康チェックはどのようにすればいいのでしょうか?

まず製造現場や飲食店の経営者の方にしてほしいのが、健康チェック管理表の作成と記録です。

この管理表の記録は、万が一食中毒が起きた場合、事業所やお店そして働く従業員を守るのに役立ちます。

今回は、健康チェック管理表に最低限入れて欲しい4つの項目をご紹介します。

健康チェックに入れて欲しい4つの項目

  1. 検温
  2. 下痢・咳などの自覚症状
  3. 手指の傷チェック
  4. 毛髪チェック

それでは1つずつ解説します。

検温

ウイルスや菌に感染するときの代表的な症状の1つに発熱があります。

しかし多少熱があっても、責任感の強い従業員は嘘をついて出勤してしまう恐れがあります。

そのようなことがないよう、発熱の項目ではその場で従業員に検温してもらいその数字を書いてもらうよう徹底しましょう。

体温計は肌に触れるものなので複数本準備し、検温チェックが終わるごとにアルコール消毒します。

また従業員1人が測ると、嘘の体温を記録として書いてしまう恐れがあるので、体温の確認・記録は本人ではなく現場責任者が行うことのがおすすめです。

現場責任者が席を外していることもあるので、本人以外の従業員が記録をするなど飲食店や製造現場でルールを決めましょう。

下痢・咳などの自覚症状

下痢や咳などの自覚症状の有無を従業員に問いましょう。

こちらも責任感の強い従業員の場合、自覚症状があっても無いと言ってしまう恐れがあるので注意が必要です。

また休みにくい雰囲気の職場の場合、従業員が自覚症状を言わないこともあります。

そうならないよう経営者の方は、従業員の体調不良の欠勤を快諾できるような職場環境を作っていくようにしましょう。

手指の傷

手指の傷には黄色ブドウ球菌が多く集まります。

黄色ブドウ球菌は増殖すると、エンテロトキシンと呼ばれる毒素を出します。

その毒素が食品に触れることで食中毒が起きるのです。

黄色ブドウ球菌は、比較的強い菌と呼ばれていますがそれでも60℃の30分間煮沸で死滅します。

しかしながら、エンテロトキシンは酸やアルカリ、熱に強い厄介な毒素で、100℃で30分間煮沸しても無毒化できません。

これらのことから、黄色ブドウ球菌を持ち込まないためにも、手指の傷チェックは重要です。

とくに冬は、手指の肌荒れが多くなる季節。

経営者の方は従業員の手指の傷をチェックし、手荒れが酷い場合は、食品を触る仕事に従事させないなどの対策を取りましょう。

どうしても調理に従事させる場合は、傷口をしっかりと絆創膏で覆い、その上から手袋を着用させます。

また手荒れ防止のため、

手荒れ防止

  • 使い捨てのゴム手袋
  • 手荒れの少ない洗剤

を準備しておくとばっちりです。

毛髪チェック

健康チェックとは異なりますが、出勤前に毛髪チェックも項目に入れておきましょう。

とくに調理や製造に携わる従業員の場合、帽子から毛髪が出ていると商品に混入してしまう恐れがあります。

配膳する従業員も、帽子がある場合は毛髪がでないようきちんと被る、ない場合は髪を結ったり、短髪にしたりするなどの対応をしましょう。

従業員の健康チェックが大事だとはいえ、複雑なチェック表は業務の負担になってしまいます。また、紙ベースのチェック表は管理が大変です。

従業員の健康チェックは、FOOD CAPTAIN(フードキャプテン)の利用がおすすめです。

従業員の健康チェックで体調不良の人がいた場合の対応

従業員の健康チェックで体調不良の人がいた場合の対応

健康チェックで体調不良の従業員がいた場合、人手の少ないお店や事業所の経営者は、分かっているものの、「従業員を自宅に帰したくない…」と思っている方も多いでしょう。

特に繁忙期だった場合、目の前の仕事に追われて、従業員の健康チェックが疎かになりがちです。

しかしながら、飲食店や事業所で一度でも食中毒を起こしてしまうと、お客様の命を脅かしてしまうのはもちろんのこと、店を閉めざるを得なくなってしまいます。

大きなリスク回避のためにも、経営者は目の前の仕事や利益をぐっと堪えて従業員を自宅に帰しましょう。

従業員の健康チェックを怠ったときのリスク

従業員の健康チェックを怠ったときのリスク

従業員の健康チェックを怠ると飲食店や事業所にどのようなリスクが及ぶのでしょうか。

ここからは、従業員の健康チェックを怠ったがゆえに起こった過去の食中毒事件を紹介します。

万が一、飲食店で食中毒を起こしてしまった場合の流れについても解説しますので、食品事業に携わる経営者の方は最後までご覧ください。

体調不良の従業員が原因で大規模なノロウイルス食中毒が発生(2006年)

2006年6月16日に埼玉県の弁当製造施設で起きた大規模なノロウイルス食中毒事故です。

ノロウイルスに汚染された仕出し弁当は132事業所に配達され、飲食した2080名のうち710名に食中毒症状が出ました。

保健所の調査の結果、弁当製造施設の調理従事者31名中9名にノロウイルス遺伝子が検出されてたとのこと。

さらに詳しい調査をしたところ、弁当製造施設のトイレの手洗いが破損していたことも分かっています。

このことから、ノロウイルス感染症に罹っている従業員がトイレ後の手洗いを調理場内で行っていたもしくは、全くせずに調理に従事していた可能性があったとのことです。

ノロウイルス感染症に罹っている従業員が手指を介して食品を汚染したことから、大規模な食中毒事故に繋がったと推測されます。

この弁当製造施設では、保健所から6月19日から23日までの5日間の営業停止処分を受けました。

さらに経営者・従業員に対してノロウイルスに対する衛生指導を行い、施設立ち入り調査時には、施設の改善を指示しています。

飲食店で食中毒が発生してしまったら

事例のように従業員が原因で大規模なノロウイルス事故が発生してしまった場合、どのように調査が行われ、処罰が下されるのでしょうか?

今回は、飲食店でノロウイルス食中毒が発生してしまった場合を想定して、発生後の対応の流れを見てみましょう。

飲食店で食中毒が発生してしまったときの対応

  1. 保健所への報告
  2. 保健所による調査・処分
  3. お客様への損害賠償

それでは1つずつ見てみましょう。

保健所への報告

「店の飲食が原因で食中毒を発症した」と連絡があったら、お客様から次の内容を聞き取り、24時間以内に保健所に届け出ます。

お客様に聞き取る内容

  • 飲食日時、メニュー
  • 具体的な症状
  • 発症日時
  • 医療機関の受診の有無

連絡があった時点でお客様が医療機関に受診していなければ、原因究明のために医師の診断が必要であることを説明し、受診を促しましょう。

保健所による調査・処分

保健所は店から連絡を受けると、現場調査を行います。

  • 厨房の拭き取り調査
  • 従業員の手の細菌検査
  • 従業員の検便

場合によっては、商品の仕入れ状況の伺いや店舗の作業マニュアルの提出などを求められます。

調査の結果、食中毒だと正式に認定されると食品衛生法に基づき、3日程度の営業停止処分もしくは営業禁止処分を受けることになるのです。

営業停止処分を受けるとその期間の売上がゼロになってしまいます。

さらに営業停止処分を受けた店ということで、しばらくの間お客様の足が遠のくのを覚悟しなければなりません。

このように店や事業所での従業員の健康チェックを怠り、食中毒を起こしてしまうと、大きなリスクを負うことがわかります。

リスクを未然に防ぐためにも、経営者は、従業員の健康チェックを徹底しましょう。

まとめ

従業員の健康チェックは衛生管理の基本!リスクから自社に合った管理表を作ろう

従業員の健康チェックは毎日行うからこそ、惰性になりがちです。

定期的に経営者自らがチェックを行うなど、指導をしていくことをおすすめします。

少々面倒だな…と思われるかもしれませんが、この小さな積み重ねが食中毒事故を防ぐのです。

まとめ

  • 従業員に健康状態を正直に申告させるには職場内の雰囲気づくりも重要
  • 従業員が体調不良だった場合は帰宅させるのが最善の選択
  • 健康チェックを怠ると大規模な食中毒事故を発生させる恐れがある

従業員が原因で食中毒事故を起こすと、お店の損害が大きくなるのはもちろんのこと、真面目に勤務してくれた従業員に大きな心の傷を負わせることにもなりかねません。

安心・安全な商品を提供し、従業員に気持ちよく働いてもらうためにも、健康チェックを怠らないようにしましょう。

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【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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