「お客様が入れ替わる度にテーブルを拭いているけど、この拭き方でいいの?」
「テーブルを拭いた後の消毒液っていつ散布するの?」
飲食店のテーブルの適切な拭き方をご存知ですか?
今回は、飲食店のテーブルの適切な拭き方から水拭きのリスクまでを解説します。
飲食店のテーブルの適切な拭き方をマスターすれば、新型コロナウイルス感染症も予防にも役立ちますよ。
「飲食店のテーブルが汚れたままだと、食中毒のリスクやお店のイメージダウンにつながります。」
飲食店のテーブル汚れが招くリスクについても解説しますので、ぜひご覧ください。
飲食店のテーブルの適切な拭き方―4つのステップで菌知らず
飲食店のテーブルを拭くとき、水拭きしてから除菌していませんか?
じつはこのテーブルの拭き方は、見た目はキレイに見えますが菌やウイルスを塗り広げているのです。
テーブルをキレイにするどころか、食中毒や新型コロナウイルス感染症のリスクを高めてしまいます。
ここで適切なテーブルの拭き方を再確認し、お客様に安心して食事を楽しんでもらえるお店づくりをしましょう。
ステップ1:テーブルを拭くタイミングはお客さんの会計後
飲食店のテーブルは開店前はもちろんのこと、営業中はお客様の会計後に拭きましょう。
テーブルを拭いていない、除菌もしていない席にお客様を案内するのはNGです。
お客様を少々待たせるようなことになっても、テーブル拭きと除菌を済ませてから席を案内するよう徹底します。
それ以外にも1時間に1回のラウンド(巡回)で空いているテーブルを拭きましょう。
店内にごみ箱を設置している場合は、ごみ捨てとともに周囲に汚れがないかも合わせてチェックします。
ステップ2:水拭き禁止!除菌された布巾またはキッチンペーパーを使用
お客様が席を立ったテーブルには、食べかすや見えない菌が付いています。
ささっと水拭きしたいところですが、これはNG!
逆に汚れや菌を塗り広げることになってしまうのです。
以下のグラフをご覧ください。
こちらは、アルコール除菌 ラボ@キッチン&食卓と株式会社微生物研究所が2014年に共同調査を行い、11月にプレスリリースとして発表した報告書に掲載されている画像です。
水拭きして室内干しした布巾の雑菌数を7日間にわたって調査した実験とその結果になります。
実験方法
- 清潔な乾いた布巾を水で濡らし、テーブルを拭く
- 水道水でこすり洗いして気温25度、湿度75%の環境で干す
- 1日2回(朝・夕)に同じテーブルを水拭きし洗って干すのを6日間続ける
- 1日1回、洗って干した布巾の菌を採取
水拭きしてしっかり洗ったのにも関わらず、洗った直後から既に1500もの菌が付着しています。
そして6日後には洗って干した布巾にも関わらず、初日の120万倍。なんと約18億個もの菌が布巾に付着していたのです。
水で濡れたままの布巾がいかに菌を増殖させるかこの実験結果を見ればよくわかりますね。
テーブルの上に付着した菌を増殖させないためには、清潔な乾いた布巾またはキッチンペーパーが効果的です。
しかしながら、清潔を保つためには何度もテーブルを拭く必要があるので、乾いた布巾やキッチンペーパーを使うのがムリなお店もあるでしょう。
使用済みの布巾はそのまま置くと布巾で菌が増殖、また菌が他の場所に付着してしまうので、同じふきんを再度使う場合は、除菌剤に浸け置き保管をすることも効果的です。
また除菌剤に浸け置く場合には適時、除菌剤を交換しないと濃度が薄まり、効果がなくなります。洗ったふきんはしっかり絞って浸け置きをすることがポイントです。
また布巾を使っても往復して拭くと、せっかくふき取った菌をもう一度塗り広げてしまいます。
同じところを再び拭かないよう、S字を描くように拭くと効率よく菌やウイルスなどの汚れを集められます。
なお、食べこぼしなどの油汚れは、キッチンペーパーなどでできるだけふき取り、アルカリ性の洗剤を使って汚れを落とすといいでしょう。
洗剤を使って濡れてしまったテーブルは、必ず乾いた布巾で水気を切ります。
テーブル拭きに最適な除菌剤はこちらの記事に詳しく書かれていますので合わせてご覧ください。
ステップ3:アルコール消毒液をスプレー
テーブルを拭き終えた後は、アルコール消毒液をテーブルに散布します。
お食事中のお客様もいますので、先ほど使った布巾とは別の乾いた布巾にアルコール消毒液を散布して、一方向に拭くといいでしょう。
テーブルの除菌・洗浄には、エコラボのHBクワットがおすすめです。
ステップ4:イス・メニュー表もテーブルと同じように拭く
飲食店でお客様が触れるのはテーブルだけではありません。
イスやメニュー表もお客様が直に触れるものです。
テーブルを除菌したら、イスやメニュー表、レジ前のビニールシートなども同じように拭き、アルコール消毒液で除菌するようにしましょう。
そのときはテーブルを拭いた布巾を使うのではなく、新しい別の布巾を使います。
【食中毒を招く】飲食店のテーブル汚れが招く大きな4つのリスク
飲食店のテーブルは適切な拭き方をしないと、汚れが残ってしまいます。
汚れが残ったままのテーブルでお客様に食事を提供すると4つのリスクを招く恐れがあります。
リスク1:食中毒・新型コロナウイルス感染
厚生労働省が発表した統計資料によると、令和元年に発生した食中毒の約6割が飲食店で発生しているという結果が出ています。
食中毒発生件数う
- 食中毒発生件数…1061件
- うち発生施設が判明している件数…899件
- 飲食店で発生した食中毒発生件数…580件
- 食中毒発生施設(899件)の中での飲食店の割合…65.2%
これは非常に高い割合ですね。
すぐに喫食する飲食店で食中毒が発生している要因の一つに、衛生管理が不十分ということが考えられますが、清掃を行う範囲は厨房だけではなく、お客様が接触する客席エリアも十分に行うことが大事です。
リスク2:営業停止命令や営業禁止処分も
飲食店で食中毒が発生すると、食品衛生法第6条の3項に違反することとなり、処罰を受けます。
食品衛生法第6条次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない~中略三項病原微生物に汚染され、又はその疑があり、人の健康を損なう恐れがあるもの。
引用:食品衛生法
処罰内容は、食品衛生法第55条に基づき、
処罰内容
- 営業停止命令
- 営業禁止処分
を受けることになります。
営業停止期間は各都道府県の管轄によって定められますが、多くの場合3日間になります。
営業停止期間が終わると、再度保健所からの指導があり飲食店は営業を再開できますが、一度食中毒を起こしてしまうと店のイメージは低下。
売上ダウンは免れないでしょう。さらに食中毒を発症したお客様から損害賠償を求められることもあり、お店は経済的に大きな打撃を負ってしまいます。
リスク3:飲食店へのイメージ低下
お腹を満たすだけなら、コンビニや自宅でもできます。
それでもお客様が飲食店を訪れるのは、自宅やコンビニでは味わえない、心地よい雰囲気の中で美味しい食事を楽しみたいからです。
そこでテーブル汚れを見つけてしまったら、来店を後悔し二度と行かないということになりかねません。
また期待を裏切られたお客様が、SNSによってテーブル汚れを拡散したら、衛生管理が甘いお店というレッテルを貼られてしまいお店のイメージは大幅ダウン。
小さい飲食店ならそのまま閉店に追い込まれてしまいかねません。
リスク4:従業員の離職
テーブル拭きを徹底させるには、
テーブル拭きに必要なもの
- 清潔な乾いた布巾やキッチンペーパーの準備
- 消毒液スプレーの用意
など手間やコストがかかります。
この手間やコストを経営者が渋り、テーブル拭きを疎かにしてしまうと、衛生管理の意識の高い従業員が店に違和感を持ちます。
これが続くとストレスになり、結果離職につながってしまうのです。
その結果、店に残るのは不潔でやる気のない従業員のみ。お客様の足は遠のいてしまいます。
まとめ:飲食店のテーブル拭きは適切な方法でこまめに行う
飲食店のテーブルの拭き方は、乾いた布巾で一方向に拭くのが基本です。
いきなりアルコール消毒液を吹きかけた布巾で拭いても、汚れや菌は落ちませんので覚えておきましょう。
まとめ
- 菌や汚れを広げてしまうので水で濡れたまま保管された布巾でテーブルを拭くのはNG!
- テーブルを拭くタイミングはお客様の会計後と1時間に1回のラウンド
- 使用後、水洗いしてしっかり絞ったふきんを除菌剤に浸けおき保管をすれば安心して使える
忙しいからといって、テーブル汚れをそのままにしておくと食中毒やお店のイメージダウンに繋がります。
忙しくてもテーブル拭きは適切な方法でこまめに行い、お客様に安心して食事を楽しんでもらえるお店づくりをしましょう。
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