「飲食店の衛生管理が大事なことはわかるけど、具体的に何をすればいいの?」
「従業員に衛生管理の意識付けをしたいけど何から教えればいい?」
飲食店の衛生管理について知りたいですか?
今回は、飲食店の衛生管理の具体的な方法と継続することの重要性について解説します。
この記事を読めば、衛生管理の具体的な方法を理解できるので、従業員にも的確な指示や教育ができます。
「衛生管理は継続することが大事。そのためには経営者だけでなく従業員の協力も必要です。」
HACCP(ハサップ)の対応についても解説しますので、ぜひご覧ください。
飲食店の衛生管理って具体的に何をしたらいいの?3つのポイントを押さえよう
飲食店の衛生管理とは、食中毒や異物混入の起きない環境づくりのために実施する作業のことをいいます。
そのためには、高価な除菌・洗浄機器や業務用洗剤を購入しなければならないと思われがちですがそれは間違いです。
以下の3つのポイントを押さえれば、今日から低コストでどの飲食店でもはじめられます。
ポイント1:従業員の衛生・健康管理
店内や食品の衛生管理も大事ですが、従業員の衛生管理や健康チェックにも気を配りましょう。
たとえば従業員の衛生管理では、
従業員の衛生・健康管理
- 調理前、調理中・調理後の手洗いの徹底
- 制服を清潔に保っているか
- 爪の長さ、指の怪我の確認
- 帽子やネットの着用
など経営者は細かい部分にも気を配るようにします。
とくに手指の怪我は、食中毒の原因菌であるブドウ球菌を食品に付着させてしまう恐れがあるので念入りに確認しましょう。
怪我がある場合は、ばんそうこうをした上に、ゴム手袋を着用し食品に触れない業務へ変更するなどの対応をします。
ただ、経営者がいつもお店にいるわけではないので、チェック表を作り従業員同士確認し合うことをおすすめします。
そして意外と盲点なのが、従業員の健康チェック。
真面目な従業員ほど、多少体調が悪くてもお店のことを考えムリして働きがちです。
しかしながら、「ノロウイルス」・「インフルエンザ」などは感染力が強く、他の従業員やお客様に感染する恐れがあります。
自己申告の健康チェックだけでなく、検温も取り入れ従業員の体調不良に気づけるようにします。
また経営者は日ごろから従業員とのコミュニケーションを密にとり、体調不良の場合は安心して休めるような環境づくりに努めましょう。
従業員の衛生・健康管理は、チェック表を作って実施することをおすすめします。チェック表の作り方やひな形は以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
従業員の健康チェックは衛生管理の基本!リスクから自社に合った管理表を作ろう
従業員の健康チェックを怠ると、大規模な食中毒事故に繋がりかねません。今回は、従業員の健康チェックを行う理由と管理表の作成方法をご紹介します。...
ポイント2:調理器具の消毒・点検
食品が直接触れる調理器具の消毒・点検は衛生管理の基本中の基本!
毎日徹底して行っているお店が大半でしょう。
しかしながら、調理器具の消毒・点検に明確な基準やルールはないため、もしかすると間違った方法で実施している恐れがあります。
たとえば店のまな板と包丁は、
店のまな板と包丁
- 野菜用
- 生魚用
- 生肉用
と使い分けていますか?
生肉・生魚は食中毒の原因菌が付着していることが多く、加熱する食材と非加熱の食材を同じ包丁やまな板で調理したことで交差汚染し、過去に食中毒が発生した事例がいくつもあります。
その他にも
点検不足による事故
- 調理器具の洗浄不足による食中毒
- 壊れた調理器具を使ったことによる異物混入
など、消毒や点検不足による事故は過去にいくつも発生しています。
各飲食店で使用する調理器具はそれぞれ違いますので、お店独自のチェック表・マニュアルを作り、全社員徹底するようにしましょう。
ポイント3:食材の扱い・保存管理
食材の扱いや保存管理がずさんだと、食中毒の原因菌が増殖してしまい大変危険です。
食材を仕入れたらすぐに冷蔵庫や冷蔵庫、野菜室にいれるようにしましょう。
調理をするときは、先入れ先出しが基本。
冷蔵庫や冷凍庫に何がどれくらい残っているのか把握し、新鮮なうちに使い切るよう徹底します。
そのためにも、冷蔵庫・冷凍庫は常に整理・整頓をし先入れした食材がすぐに取り出せるようにしましょう。
また多くの人が「冷蔵庫・冷凍庫に入れれば食材は安心」と思われがちですが、それは間違いです。
冷蔵庫や冷凍庫の温度は、食材の出し入れによってすぐに上昇します。
さらに突然故障する可能性もゼロではありません。
食材を安全に保管するためにも、1日3回程度冷蔵庫・冷凍庫の温度チェックをしましょう。
なお、冷蔵庫の適正温度は10℃以下、冷凍庫の適正温度は-15℃以下です。
冷蔵・冷凍庫内の温度チェックを目視確認でおこなうのは大変です。Iotの導入で従業員の負担を軽減してみてはいかがでしょうか。
温度管理をもっとラクに!Iotで冷蔵庫・冷凍庫内の温度を計測する「温度っち」
安心・安全な食品をお客様に提供するには、食材や調理済み商品の温度管理が欠かせません。今回は、自動で温度を正確に記録・監視・管理をおこなうクラウド型IoTソリューション「温度っち」をご紹介します...
飲食店の衛生管理は継続することが大事
飲食店の衛生管理は、1回すれば終わりではありません。
施設の清掃がおろそかになれば、カビや害虫の発生にもつながります。
店が継続する限り、衛生管理も続けることが大事です。
衛生管理には手間やコストがかかるので継続は大変ですが、
!飲食店の衛生管理を徹底することによるメリット
- 飲食店のイメージUP
- 食材の管理をすることで、仕入れの過不足がなくなりムダなコストを減らせる
- 従業員とのコミュニケーションが活発になる
などのメリットもあり、最終的に売上アップにつながります。
経営者・従業員が一丸となって取り組めるようなシステムを作るといいでしょう。
【HACCP/ハサップってなに?】2020年、飲食店の衛生管理が注目されている理由
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、観客や選手に日本の食をより安全に楽しんでもらうため、2020年6月よりHACCPによる衛生管理の制度化が施行されています。
HACCPとは、食中毒や異物混入を発生させないための食品安全の仕組みのことを言います。
食材の仕入れからお客様への料理提供までの衛生管理手順を見える化し、管理することが求められます。
飲食店では、4ステップで衛生管理の見える化を行います。
4ステップで衛生管理の見える化
- ステップ1:衛生管理計画表の作成
- ステップ2:衛生管理マニュアル・チェック表の作成
- ステップ3:衛生管理を実践し、チェック表に従い記録
- ステップ4:衛生管理をモニタリングし計画表を見直す
それぞれのステップで、気を付けるべきことがHACCPの管理基準で細かく決められています。
なお2021年6月のHACCP完全制度化が開始されるまでは猶予期間です。
現時点では、HACCP制度の罰則規定はありませんが、将来制度に従わない飲食店は罰則が科せられる可能性があります。
この1年間の猶予期間にHACCP制度を理解し、お店独自の衛生管理システムを作っておきましょう。
詳細については、以下をご覧ください。
参照:多店舗展開する外食事業者のための衛生管理計画作成の手引き|厚生労働省
まとめ:衛生管理はコストをかけ過ぎず継続的に実践しよう
飲食店の衛生管理は、低コストで誰でも今日からできますが、慣れるまでは手間がかかります。
また衛生管理は全社員で取り組まないといけないので、慣れるまではトラブルが発生するかもしれません。
でも継続することで、従業員とのコミュニケーションが活発になったり、食材のムダが減らせたりとメリットもあります。
まとめ
- 飲食店の衛生管理の目的は食中毒や異物混入が起きないようにすること
- 衛生管理は慣れるまで大変だが継続すると売上UPにつながる
- 2021年6月のHACCP完全制度化までに衛生管理マニュアルやチェック表の準備・実践をする
東京オリンピック・パラリンピック開催により、日本の食は世界からますます注目されることが予想されます。
HACCP制度の導入により飲食店の衛生管理チェックはより厳しくなりますが、この機会をチャンスととらえ、日本の食を世界にアピールしていきましょう。
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