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知らなかったでは済まされない!食品製造・販売に必要な営業許可・営業届出

知らなかったでは済まされない!食品製造・販売に必要な営業許可・営業届出

食品にまつわる法律

衛生管理

自社で新商品を開発したら、いち早く消費者に届けたいと思うでしょう。

さらに新商品が流行に合わせたものなら、なおさら早く販売したいと思ってしまいますよね。

しかし、もしかするとその新商品は新しく営業許可または営業届出が必要になるかもしれません。

営業許可や営業届出なしで、商品の製造・販売をすると食品衛生法違反により罰せられます。

この記事では、営業許可や営業届出が必要な業種の紹介や許可なしで製造・販売することのリスクを解説します。

営業許可や営業届出なしの製造・販売は「知らなかった!」では済まされない事案なので、ここで確認しましょう。

なぜ食品の製造・販売に営業許可・届出が必要なの?

食品を製造・販売するには営業許可または営業届出の手続きが必要になります。

食品衛生法で定められている基準を満たしていない製品が世に出回ってしまうと、食した消費者の健康に影響が出る可能性があるからです。

これは食品衛生法で決まっており、無許可で製造・販売してしまうと法律違反として罰せられます。

営業許可・届出を出さないと負うリスク

営業許可の手続きをせずに食品を製造・販売してしまうと法律違反により、保健所より指摘されると次のようなリスクを負います。

営業許可・届出を出さないと負うリスク

  • 製品のリコール
  • 許可を得ていない製品の製造・営業停止
  • 営業許可の再申請

そのため、事業の存続にまで影響を及ぼしかねません。

また、刑事責任を負うことになり以下の罰則を受けることになります。

!お客様に聞き取る内容

  • 営業許可を受けずに食品を製造・販売
    2年以下の懲役または200万円以下の罰金刑
  • 営業許可の有効期限内の更新を怠る、必要な条件を満たしていない
    1年以内の懲役または100万円以下の罰金刑
  • 営業届出をせずに食品の製造・販売
    50万円以下の罰金刑

そのほか法人の代表者は、違反すると1億円以下の罰金刑が課されることもあります。

営業許可・届出不備による商品リコールが多発する理由

しかしながら、これだけ大きなリスクがあるのにもかかわらず営業許可・届出不備による商品のリコールが後を絶ちません。

これは、無免許で公道を運転しているのと同じで大変危険です。

厚生労働省が公開している食品リコール情報によると、2022年に営業許可の不備が原因で発生したリコール事案は7件にも上ります。

なぜ事業者は営業許可や営業届出のないまま、食品の製造・販売をしてしまうのでしょうか。

考えられる理由は以下の通りです。

営業許可・届出不備による商品リコールが多発する理由

  • 新製品を開発したときに新たな営業許可が必要なことを知らなかった
  • 既存の製品をリニューアルしたときに別の営業許可が必要であることを知らなかった
  • 新たに事業を立ち上げるときに足りない営業許可があった

事業者が故意におこなった事案は稀で、多くは営業許可や営業届出が必要なことを「知らなかった」のが大きな要因となっています。

逆に言えば、事業者が営業許可や営業届出が必要なことをを知っていれば防げる事案です。

この記事で営業許可が必要な業種をおさらいしましょう。

営業許可が必要な業種

令和3年、15年ぶりに食品衛生法が改正され営業許可制度が変更されました。

ちなみに、「食品衛生法に定められた34業種」は1972年(昭和47年)から見直しが行われておらず49年ぶりの変更です。

法改正により、営業許可が必要となった業種は次の32業種になります。

!営業許可が必要となる32業種

  1. 飲食店営業
  2. 調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業
  3. 食肉販売業
  4. 魚介類販売業
  5. 魚介類競り売り営業
  6. 集乳業
  7. 乳処理業
  8. 特別牛乳搾取処理業
  9. 食肉処理業
  10. 食品の放射線照射業
  11. 菓子製造業
  12. アイスクリーム類製造業
  13. 乳製品製造業
  14. 清涼飲料水製造業
  15. 食肉製品製造業
  16. 水産製品製造業
  17. 氷雪製造業
  18. 液卵製造業
  19. 食用油脂製造業
  20. みそ又はしょうゆ製造業
  21. 酒類製造業
  22. 豆腐製造業
  23. 納豆製造業
  24. 麺類製造業
  25. そうざい製造業
  26. 複合型そうざい製造業
  27. 冷凍食品製造業
  28. 複合型冷凍食品製造業
  29. 漬物製造業
  30. 密封包装食品製造業
  31. 食品の小分け業
  32. 添加物製造業

引用:食品衛生法施行令 | e-Gov法令検索|第35条

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

営業許可を得るための条件

営業許可を得るには、書類の提出だけでなく以下の3つの基準を満たす必要があります。

  • 資格
  • 施設設備
  • HACCPによる衛生管理

それぞれの基準を見ていきましょう。

資格

営業許可を取得するには、食品衛生責任者を設置する必要があります。

食品衛生責任者になるには、資格が必要で6時間ほどの講習会を受講し、保健所に届け出なければなりません。

なお、栄養士や調理師など特定の資格がある人を食品衛生責任者として置く場合は、講習会の受講は免除され、保健所への届け出のみとなります。

施設設備

営業許可を取得するには、各都道府県が定めた2つの施設基準を満たす必要があります。

  • 共通基準(すべての業種に適用)
  • 個別基準(業種ごとに適用)

施設基準をクリアするには、一定の機能を備えた設備・機械器具が必要です。

たとえば自宅キッチンを使用してお菓子の製造・販売をしようとしても、そのままでは施設基準が満たせないため、営業許可は取得できません。

HACCPによる衛生管理

令和3年度6月以降、食品の営業許可を取得するには、HACCPに沿った衛生管理に取り組むことが必要になります。

具体的には、以下の書類の作成や従業員への指導が必要です。

  • 厚生労働省が公開している「一般的な衛生管理」及び「HACCPに沿った衛生管理」に関する基準に基づき衛生管理計画を作成する
  • 必要に応じて清掃・洗浄・消毒や食品の取扱い等について自社独自の手順書を作成
  • 衛生管理の実施状況を記録・保管する
  • 衛生管理計画や手順書の効果を定期的に検証し内容を見直す
引用:HACCP(ハサップ)に沿った 衛生管理の制度化 |厚生労働省

なお営業許可は定期的に更新手続きが必要です。

更新期限は、業種により異なりますが5年~8年が期限として定められています。

営業許可書には、有効期限が記載されていますので、期限の10日前までに更新手続きを行うようにしましょう。

営業届出の対象となる業種

令和3年の食品衛生法改正により、新たに営業届出制度が創設されました。

これは、営業許可業種以外の食品業者にもHACCPに沿った衛生管理をしてもらうための制度です。

食品衛生監視員が対象事業者を把握できるよう、管轄の保健所に届出をする必要があります。

!営業届出が必要な業種

  1. 魚介類販売業(包装済みの魚介類のみの販売)
  2. 食肉販売業(包装済みの食肉のみの販売)
  3. 乳類販売業
  4. 氷雪販売業
  5. コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)
  6. 弁当販売業
  7. 野菜果物販売業
  8. 米穀類販売業
  9. 通信販売・訪問販売による販売業
  10. コンビニエンスストア
  11. 百貨店、総合スーパー
  12. 自動販売機による販売業(5.コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)及び営業許可の対象となる自動販売機を除く。)
  13. その他の食料・飲料販売業
  14. 添加物製造・加工業(法第13 条第1項の規定により規格が定められた添加物の製造を除く。)
  15. いわゆる健康食品の製造・加工業
  16. コーヒー製造・加工業(飲料の製造を除く。)
  17. 農産保存食料品製造・加工業
  18. 調味料製造・加工業
  19. 糖類製造・加工業
  20. 精穀・製粉業
  21. 製茶業
  22. 海藻製造・加工業
  23. 卵選別包装業
  24. その他の食料品製造・加工業
  25. 行商
  26. 集団給食施設
  27. 器具、容器包装の製造・加工業(合成樹脂が使用された器具又は容器包装の製造、加工に限る。)
  28. 露店、仮設店舗等における飲食の提供のうち、営業とみなされないもの
  29. その他

営業許可と営業届出の違い

営業届出の対象業種は、営業許可の対象業種よりも食中毒リスクが少ないことから、施設基準がなく手数料も必要ありません。

また、一度提出すれば更新も不要です。

ただ以下の点は、営業許可業種と変わらないので確認しておきましょう。

  • 食品衛生責任者を設定する
  • HACCPに沿った衛生管理の実施が必要

食品を製造販売するなら食品表示法を遵守したラベル添付も必須

食品を製造・販売するには、営業許可の取得だけでなく、食品表示法を遵守した食品ラベルを作成し、添付する必要があります。

販売する食品の種類により、表示レイアウトや記載内容が細かく定められているので確認しておきましょう。

今回は、どの食品にも表示しなければならない「安全性に対しての3つの義務表示」を見ていきましょう。

賞味・消費期限

品質の劣化が緩やかな食品には「賞味期限」を、品質の劣化が早く期限が過ぎると食中毒のリスクが高まる食品には「消費期限」をラベルに添付します。

賞味・消費期限の設定方法は、以下の記事をご覧ください。

アレルギー表示

食品に含まれるアレルギー物質の表示漏れは、命にかかわる重大事故につながります。

以下の7品目は「特定原材料」となっており、表示が義務づけられていますので、販売する製品に該当する品目が含まれている場合は、必ず記載しましょう。

特定原材料 7品目

  • 小麦
  • 落花生
  • えび
  • そば
  • かに

※2025年4月1日より特定原材料にくるみが加わり8品目になります

その他、「特定原材料に準ずるもの」として21品目のアレルギー物質ががあります。

表示義務はありませんが、推奨されていますので、出来る限り記載するようにしましょう。

特定原材料に準ずるもの

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

アレルギーの表示義務・推奨については、以下の記事に詳しく記載されていますので、ご覧ください。

保存方法

開封前にどのように保存すべきかも食品ラベルに記載する必要があります。

  • 直射日光を避け、常温で保存すること
  • 10℃以下で保存すること
  • 要冷蔵(10℃)

具体的かつわかりやすい用語で表記します。

また、開封前と開封後で保存方法を変更する必要がある食品の場合、開封後の保存方法も食品ラベルに記載します。

その他、販売する食品の業種によって、食品レベルに記載しなければならない項目が異なるので確認しておきましょう。

まとめ

令和3年度の食品衛生法改正により、営業許可が必要な業種が変更されました。

また営業届出制度も新設され、食品事業者の方はどう手続きすればよいのか迷うことも増えたかと思います。

しかしながら、食品事業者はお客様の口に入る商品を製造・販売するのでこれらの手続きを疎かにしてはいけません。

まとめ

  1. 営業許可なく食品を製造・販売するのは食品衛生法違反である
  2. 営業許可・営業届出なしの食品の製造・販売が後を立たない
  3. 食品事業者は営業許可・営業届出の必要な業種や条件を知っておく必要がある

営業許可の不備は、食中毒事故のリスクだけでなく、事業の存続にまで影響を及ぼすことがあります。

安心・安全な食をお客様に提供するためにも、新商品を製造・販売する際には新たな営業許可が必要なのか管轄の保健所に尋ねましょう。

そして、新たな許可が必要な場合は、適切な手続きをしてから製造・販売を開始するようにしてください。

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【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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