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食品工場における識別管理のポイント|有効な管理の方法は?

食品工場における識別管理のポイント|有効な管理の方法は?

薬品管理

衛生管理

「食品工場における識別管理の効果的な方法を知りたい」
「工場には慣れた従業員が多いし、わざわざ識別管理をする必要はあるのかな」
食品工場の製造過程において、識別管理の徹底は基本中の基本です。
今回は食品工場における識別管理の方法やポイントについて解説します。
安心安全な食品製造に欠かせない識別管理の方法について正しく知り、食品汚染や食中毒のリスクを減らしましょう。
「食品工場では識別管理を徹底しよう!」
食品工場で識別管理を徹底すべき理由についても解説していますので、ぜひ最後まで内容をチェックしてくださいね。

食品工場での識別管理の方法

食品工場での識別管理の方法
食品工場での識別管理とは 「食材容器や調理器具などを食品別や用途別に使い分ける」 ことです。
たとえば包丁であれば、肉用や野菜用、魚用といった具合に、それぞれ区別して使い分ける必要があります。
また、食品工場においては掃除用具や洗剤などを用途別や使う場所別に管理し、異物混入などの事故に備えなければなりません。
ここで重要になのが、それぞれの器具や容器が何用であるのかすぐに判別できるようにしておくことです。
間違ったり取り違えたりしないよう、ひと目で判別できるよう工夫する必要もあります。
そこで次のような方法を用いて、誰でもスムーズに使い分けできるような識別管理を心がけましょう。

容器の色で識別管理 

食品容器や調理器具などを 色別で管理する方法 です。
たとえば調理器具は扱う食品ごとに色で区別すると交差接触を避けることができます。
  • 肉用…赤
  • 魚用…青
  • 野菜用…緑
また、掃除用具であれば使用する場所別に色分けする方法が効果的です。
色で管理するため、瞬時に判断しやすく、間違いや取り違えを引き起こしにくくなります。
最近は識別管理に対応したカラフルな調理器具が販売されており、それらを使用するのもおすすめです。

タグやラベルで識別管理

用途や内容物を記した タグやラベルを付けて管理する 方法もあります。
作成が簡単で、取り替えや貼り替えをしやすいというメリットがある一方で、タグやラベルがはがれたり破れたりすることで異物混入のリスクが高まります。
また、ラベルの場合は端に汚れが溜まりやすく、不衛生になることもあり注意が必要です。
衛生面にとくに気を配りたい調理容器や器具にはあまりおすすめできません。洗剤などの容器の識別管理に活用するとよいでしょう。

食品工場における識別管理のポイント

食品工場における識別管理のポイント
識別管理は、単に色分けやタグやラベルを付ければよいというわけではありません。以下のような注意点に気をつけて、正しく管理する必要があります。

調理器具などを目的別に管理し、交差感染を防ぐ

識別管理を行う際は目的別に管理しましょう。
たとえば生食用と加熱用の包丁や、備品を拭くためのクロスと掃除に使うクロスなど、 交差汚染を引き起こす可能性が高いものは明確に区別する 必要があります。
交差感染とは、汚染度の高いものが汚染度の低いものに触れて汚染が広がることを言います。
また、乳やエビなどのアレルゲンとなる食材を扱う場合にも専用の器具を用意し、区別できるよう管理しましょう。
調理器具などは色別で管理するのがわかりやすく、何色が何用の器具なのか分かるようなポスターなどを掲示しておくと周知しやすいのでおすすめです。

洗剤や殺菌剤をひと目でわかるように管理し、混入を防ぐ

食品工場では 洗剤や殺菌剤も正しく識別管理 を行いましょう。
信じられないように思えますが、誤って製造している食品に洗剤や殺菌剤が混入してしまう事故は数多く発生しています。
そういった事故を防ぐためにも洗剤や殺菌剤の容器には薬品名・希釈率をはっきり表示させましょう。
また食材や包装資材の近過ぎる場所に薬品を置くと、汚染する可能性もあるので識別だけでなく置き場所を決めておくことも大事です。

洗剤や薬剤を扱うときは、識別管理はもちろんのこと、SDSの確認も忘れずに行いましょう。

食品工場で識別管理を徹底すべき3つの理由

食品工場で識別管理を徹底すべき3つの理由
ここまで識別管理の方法やポイントについて解説してきました。
ここからは、あらためて食品工場で識別管理を徹底すべき理由を確認し、その重要さについて認識しておきましょう。

食品汚染や食中毒を防ぐため

食品工場での識別管理の最大の目的は、 交差汚染による食中毒を防ぐ ことです。
生肉を加工するのに使ったまな板や包丁を、「洗浄殺菌したから大丈夫だろう」とそのまま野菜の加工に使って、汚染されてしまったなどのケースは少なくありません。
このような識別管理の不備から食品汚染や食中毒が引き起こされた場合、工場としての信用を著しく落とすのはもちろん、被害が広がり、場合によっては重症化や命に関わることも考えられます。
万が一の事故に備えるためにも、食品工場では識別管理を徹底する必要があります。

誰でも間違いなく使えるようにするため

識別管理を徹底することで、従業員の全員が使いやすい環境が整うというメリットもあります。
従業員はベテランばかりではなく、作業に慣れない新人さんもいますよね。また急なシフト変更で異なる製造ラインに入ることもあるでしょう。
加えて最近では日本語を母国語としない外国人スタッフも増えており、 誰でもひと目で判断できるよう管理のしくみを整えることは多くの工場で急務 になりつつあります。
色別で管理すれば日本語が苦手な外国人スタッフも判別しやすく、結果として食品汚染などのリスクを減らせます。

洗剤や殺菌剤が混入する事故を防ぐため

製造している食品や飲料に洗剤や殺菌剤が混入してしまう事故はめずらしくありません。
そういったトラブルを防止するためにも、 内容物や希釈濃度を明記した識別管理は有効 です。
希釈濃度を間違ってしまうケースが多く、たとえば洗剤の濃度を高くしすぎるとすすぎがうまくできず、においや洗剤が残り、食品への混入リスクが高まります。
殺菌剤の場合は口にした人への危害につながってしまい非常に危険です。
逆に濃度が低いと汚れが落ちにくい、きちんと殺菌されないなど、洗剤や殺菌剤の効果を発揮できず、食中毒発生のリスクにつがなります。
内容物や希釈濃度を明記する方法だけでなく、取り違えを防ぐようボトルの形を変えるのも効果的です。
できるだけ簡単な方法で、誰もが分かるような識別管理を徹底しましょう。

まとめ:食品工場の識別管理を徹底してトラブルを未然に防ごう

食品工場での識別管理はないがしろにされがちですが、非常に重要です。
「いつも使い慣れているから大丈夫」、「きちんと洗っているから使い分けの必要はない」などと思っていると、思わぬ大事故につながるおそれがあります。

まとめ

  • 食品工場での識別管理は色別やタグ、ラベルで行う
  • 食品工場での識別管理を怠ると食中毒や異物混入のリスクが高まる
今回ご紹介した 識別管理の方法やポイントをしっかり確認し、食中道や異物混入のリスクを最小限にとどめたい ですね。
ABOUT ME
【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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