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米国食品強化法 FSMAとは?制定された背景や日本にも来るFDAの査察を解説

米国食品強化法 FSMAとは?制定された背景や日本にも来るFDAの査察を解説

食品にまつわる法律

衛生管理

国内だけでなく、海外に自社商品を輸出したいと考えている事業者も少なくないでしょう。

数ある貿易国の中でも、まずは貿易大国であるアメリカへの輸出を検討している事業者もいるのではないでしょうか。

「郷に入れば郷に従え」という言葉があるように、アメリカに食品を輸出するには、アメリカの法律や規律を遵守する必要があります。

この記事では、日本からアメリカに食品を輸出するために遵守しなければならない、米国食品強化法 FSMAをわかりやすく解説します。

アメリカへ自社商品を輸出しようと検討している食品事業者の方はぜひご覧ください。

米国食品強化法 FSMAとは?

米国食品強化法(FSMA)とはFood Safety Modernization Actのことで、2011年にアメリカが制定した食品安全に関する法律です。

アメリカで制定された法律ですが、FSMAはアメリカに流通する全ての食品―つまり輸入食品にも適用されます。

アメリカは、現在日本の農林水産物・食品の輸出先第2位となっている貿易大国。

よってFSMAを無視しての取引は不可能です。

アメリカへの食品輸出を突然ストップさせられないよう、食品事業者はFSMAの内容を理解し、法を遵守するため適切な対応をする必要があります。

米国食品強化法 FSMAが制定された背景

米国疾病予防センターによる推計値によると、アメリカ国内では、食品由来の疾患による死亡事故が年間約3,000件発生しています。

事故原因を追及するとそのほとんどは、予防可能なものであったと推測されています。

そこで、食品を供給する時点で事故を予防するための対応を徹底するためにFSMAが制定されました。

米国食品強化法(FSMA)の対象

FSMAが適用される対象は、アメリカ国内で流通する農産物・食品を育成・製造・加工・包装・保管する事業者です。

アメリカ国内の事業者はもちろんのこと、アメリカ国内へ農産物や食品を輸出する企業も対象となります。

対象となる農産物・食品の一覧

  • 野菜・果実
  • 精米
  • 水産物
  • ジュース
  • 低酸性缶詰食品
  • 栄養補助食品
  • 栄養補助成分
  • 乳児用ミルク
  • 清涼飲料水
  • 殻付き卵
  • 乳製品
  • 食品添加物
  • 緑茶
  • その他加工食品全般(パン・菓子類・調味料など)

一方、米国農務省(USDA)が管轄する食品(畜肉・家禽肉・卵製品)のみを扱う事業者はFSMA対象外です。

食肉加工品の輸出は、米国農務省(USDA)や米国農務省食品安全検査局(FSIS)の規定を満たす必要があります。

輸出したい商品のジャンルや特性によって、対象となる法令や関連規則が決まっているのでそれぞれ内容を確認しましょう。

アメリカへ食品を輸出をするには?

アメリカへ食品を輸出するには、米国食品医薬品局(FDA)への施設登録および2年ごとの更新が必要です。

また、日本からの輸出だけでなくアメリカに日本企業が進出し、国内で製造・流通する場合にも同じ手続き・更新が必要なので覚えておきましょう。

米国食品医薬品局(FDA)は、定期的にアメリカ国内だけでなく登録された海外の企業への査察をおこなっています。

PCHF規則の対応が必須

アメリカへ自社商品を輸出するには、FDAへの施設登録とともに、製造から保管までの全ての工程でPCHF規則の対応が必要です。

PCHF規則とはPreventive Control for Human Food Ruleのことで、FSMAの第103条で定められたヒト向け食品に対する予防コントロールのことです。

PCHF規則は7つのサブパート(章)に分けられており、原則ABCFGのサブパートで決められた要件を満たす必要があります。

それぞれのサブパートのタイトルと内容は次の通りです。

パート タイトル 内容
サブパートA 一般規定 定義・個人の適格性・免除など
サブパートB 現行適正製造規範 衛生的な業務・衛生的な施設および管理・機器及び用具など
サブパートC 危害分析およびリスクに応じた予防管理 食品安全計画、危害分析、予防管理、リコール管理、モニタリング、是正措置、修正、検証、妥当性確認など
サブパートD 修正要件 適格施設に適用される修正要件、非エクスポージャー包装済み食品の管理のみに従事する施設に適用される修正要件など
サブパートE 適格施設免除の撤回 FDAが適格施設に対する免除を取り消す可能性がある状況など
サブパートF 作成・保管が必要な記録に適用される要件 本サブパートの要件が適用される記録、記録に適用される一般要件など
サブパートG サプライチェーン・プログラム 原材料仕入れ先の管理の構築、実行のための要件、受入施設の責任など
参照:待ったなし!米国向け輸出を継続するために。Action!! FSMA│JETRO

これらサブパートの中で特に重要なのが、サブパートB・C・Gになります。

アメリカへ食品を輸出するのに認証規格はいらない

アメリカへ食品を輸出するには、FSSC22000やISO22000などの認証規格が必要だと思われがちです。

サプライヤーによっては求められることもあり、認証規格を取得しておいた方がスムーズにいくこともありますが、義務ではありません。

アメリカへ食品を輸出するには、米国食品強化法(FSMA)の基準に則った食品製造である必要があります。

輸出したい製品の品目や特性によって、該当する法令や関連規則が決まっているので、以下の資料から内容を確認しましょう。

米国食品安全強化法(FSMA)概要 | 食品安全強化法(FSMA)に関する情報

FDAの査察は日本まで来る!

2011年のFSMAの制定以降により、FDAの外国施設への査察が強化されました。

日本のFDAの登録施設件数は、2020年3月時点で14,092件。アメリカ国外の登録施設数では最も多い登録者数です。

日本貿易振興機構(ジェトロ)のデータによると、2011年~2019年の間にFDAが日本でおこなった査察累計数は573件にもなります。

なおFDAの査察件数が最も多かったのが2012年で126件。直近のデータによると2019年のFDA査察件数は39件となっています。

FDAの査察要請が来たら

FDAは立ち入り検査前に、対象施設に査察要請の連絡をします。

連絡手段は英文メールで、FDAに登録したときのメールアドレス宛てに届くので見逃さないよう注意しましょう。

査察要請の通知メールの件名は【USFDA Notification of Inspection】です。

使用しているメールソフトによっては、迷惑フォルダに入ってしまうこともあるのでご注意ください。

査察要請を受けた施設は、FDAが示す期限内に応答しなければなりません。

応答しないと【査察検査を拒否した】とみなされ、対象施設からのアメリカへの食品輸入が禁止されてしまいます。

なお、FDAによる施設の再査察を依頼すると、高額の手数料が請求されてしまうので、査察要請が来たら速やかに応答をしましょう。

FDAの査察の流れ

FDAの査察は次の6ステップに分けられます。

お客様に聞き取る内容

  1. 査察の事前通知
    FDAの査察前には、事前に通知が届きます。FDAの指定した期日までに応答しないと拒否したとみなされ、輸出が停止されるのでご注意ください。
  2. 査察準備
    事前通知から査察までの期間は約3か月程度のようです。それまでに査察に向けた対策を進めておきましょう。
  3. 査察
    ミーティング、現場確認、文書確認が実施されます。その際に、チーム紹介やハザード分析などコミュニケーションが難しい部分については、英語版の資料を準備しておくと、査察がスムーズに進みます。
  4. クローズミーティング
    査察終了後、FDA査察官が不備を見つけた場合、すぐに是正できる事項についてはその場で対応します。重大な不備があった場合は、査察終了後に査察指摘書が発行され、クローズミーティング内で説明を受けます。
  5. 査察終了後
    査察指摘書が発行された場合、期日内にFDA事務局に是正措置内容と是正実施予定・時期などをメールで報告する必要があります。期日以内に報告がなかった場合は、輸出停止の対象となります
  6. 査察報告書受理
    査察終了後から数か月後に査察報告書が送付されます。査察内容がこと細かく記載されているので、製品の衛生管理の見直しに役立てましょう。

まとめ

FDAの査察通知は突然届くため、査察までのスケジュールがタイトになる恐れがあります。

また、普段からFSMAの規定に則った衛生管理をしていないと、いざ査察が来たときに従業員に大きな負担がかかる恐れがあります。

いつ査察の通知が来ても、余裕を持って対応できるよう普段からしっかりと準備しておきましょう。

まとめ

  • アメリカに食品を輸出するにはFSMA則った手続きや対応をする
  • アメリカに食品を輸出するのに認証規格は義務ではない
  • アメリカに食品を輸出する前にFSMAの要求を理解し日頃の運用に盛り込んでおくのがベスト

そのためには、米国食品強化法 FSMAを理解し、遵守した食品製造をすることが大事です。

ジェトロのサイト内にあるFSMAの導入ガイドや食品安全計画作成ガイドを読み込み理解しておきましょう。

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【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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