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HACCPの危害要因分析とは?4ステップでリスト作成し事故の危険を回避しよう【HACCP導入手順6・7】

HACCPの危害要因分析とは?4ステップでリスト作成し事故の危険を回避しよう【HACCP導入手順6・7】

HACCP

「HACCPの危害要因分析の取り組み方がわからない」
「HACCPの危害要因分析表はどうやってつくればいい?」
HACCPの導入手順6と7は危害要因分析を行い、とくに厳重に管理すべきポイントを洗い出す過程です。
今回は導入手順の6と7について、危害要因分析の解説を中心に詳しくまとめました。

HACCPの導入手順6と7
危害要因分析はHACCP運用における重要なポイントです。製造過程に潜むリスクを見つけ出し、効率よく食品の安全を確保しましょう。
「危害要因分析はHACCPの基本。正しく分析し、万が一に備えることが重要です」
HACCPチームを筆頭に従業員全員で協力し、危害要因分析に取り組みましょう!

HACCPの危害要因分析とは?

HACCPの危害要因分析とは?

危害要因分析とはそれぞれの工程におけるリスクを見える化し、それらをどのように管理するべきかを確認する作業のこと。

HACCP運用の手順2〜3で作成した製品説明書と、手順4〜5で作成した製造工程書をもとに行います。

食品安全における3つの危害要因

食品安全における3つの危害要因

そもそも「危害要因」とはどのようなことを指すのでしょうか。

食品安全における危害要因とは、最終的にできあがった食品に残ってしまうと健康に悪影響を及ぼすおそれがあるものです。

危害要因は以下のように3つに分類できます。それぞれチェックしておきましょう。

生物的危害要因

「生物的危害要因」とは食中毒菌や寄生虫、カビなどの微生物に起因するものです。

サルモネラ菌や腸炎ビブリオ、ノロウイルスなどのほかに、魚介類に潜むアニサキスなども生物的危害要因に含まれます。

化学的危害要因

「化学的危害要因」とは殺虫剤や洗剤などの化学薬品の混入、残留農薬などおもに化学物質に起因するものです。最近ではアレルゲンも化学的危害要因に含まれることが一般的となりました。

場合によっては、被害の規模が非常に大きくなる可能性があるため、注意する必要があります。

物理的危害要因

「物理的危害要因」と金属片やガラス片、プラスチックや骨などに硬質異物に起因するものです。

いわゆる異物混入事故を想像するとよいでしょう。口の中を切ったり、歯が欠けたりといった健康被害を引き起こします。

危害要因表を作成して見える化しよう

危害要因分析表-HACCP例|厚生労働省

出典:危害要因分析表-HACCP例|厚生労働省

危害要因とは何かを理解したら、さっそく実際の危害要因を洗い出して分析を行います。

そのためには原材料から消費に至るまでのあらゆる情報を揃え、危害分析要因表をつくる必要があります。

以下の4つのステップで危害要因表を作成し、あらゆる危害要因を見える化しましょう。

ステップ1:製品説明書・製品工程図の作成

危害要因分析に欠かせないのが製品説明書と製品工程図です。

これらは導入手順3〜6の工程で作成されるものですが、改めてここでも確認しておきましょう。

製品説明書とは、どのような製品で、どのような消費者に、どのような方法で食べてもらうかといった内容を説明したものです。

一方で製品工程図は、

製品工程図

  • 原材料の受入れ
  • 保管
  • 加工
  • 包装
  • 出荷

など原材料の受け入れから出荷までのプロセスを説明しています。

これらの内容が万が一間違っていると、正しく危害要因分析を行うことができません。

HACCPチーム全員で取り組み、机上だけでなく現場でも確認を行って、正しい内容で作成することが重要です。

ステップ2:製品工程ごとにどのような危害要因があるか考察

つづいて工程ごとにどのような危害要因が潜んでいるかを考察します。

ステップ1で作成した製品説明書と製品工程図をもとに考えてまとめましょう。

たとえば原材料の受け入れ時には微生物が付着していたり、保管時には増殖したりなどのような危害要因が予測されます。

それぞれの工程ごとに、発生の可能性がある危害要因を挙げていきましょう。

ステップ3:危害要因を確認し重要度を判断

危害要因をリストアップしたら、それぞれの重要度を判断します。

危害の起こりやすさやその程度を明確にし、予防や除去が必要と考えられる重大な要因に関しては重要度が高い工程であると判断しましょう。

ステップ4:重要と判断した危害要因についてどのような管理をするか決める

ステップ3で重要と判断した危害要因に対する管理方法を決めます。

危害要因はどうすることでコントロールできるかを検討 し、その手段を検討しましょう。

危害要因をコントロールするCCP(必須管理点)を設ける

食品安全における3つの危害要因

危害要因分析の際に重要度が高いと判断した工程はCCP(必須管理点)に設定します。

CCPとは製品に潜む危害要因を減らしたり、除去したりするために必要不可欠な工程のことです。

重点的に管理することでリスクを大幅に減らせる工程であり、危害要因分析後に手順7として行う必要があります。

ただし必要以上にCCPを設定すると現場の仕事が増え、本当に必要なCCPの管理ができなくなるおそれもあるため注意したいところです。

一般的にCCPは1〜2箇所、多くても3箇所以内の設定が望ましいといえます。工場によってはCCPを設定していない場合もあります。

とはいえ、CCPを見つけるにあたって不安に陥ってしまい、どの工程も重要度が高いように思えてくることもあるでしょう。

そんなときはコンサルタントなど第三者の目で確認してもらうと安心です。

また、そもそも基本的な衛生管理ができておらず、汚染や異物混入の危険性が高い工程がある場合は施設全体の衛生管理を見直す必要があります。

CCP(必須管理点)を決定する方法

食の安全を管理する際に最後の砦といわれるのがCCPです。したがって危害要因分析をした上で、慎重にCCPを定めなければなりません。

CCPを決めるポイントはその後の工程に危害要因を減らしたり、除去したりできる手段があるか、という点です。なければその工程がCCPと定められます。

CCPに設定されることが多いのは食中毒菌の滅菌工程(加熱)と異物混入検査の工程(金属探知機による検査)などです。

しかしたとえば加熱する工程だから、と安易にすべてをCCPに設定すればよいというわけではありません。

加熱する工程には滅菌を目的としている場合だけでなく、「粉の原材料を溶かしてゼラチン状にする」、「砂糖を溶かしてコーティングする」などさまざまな目的があるためです。

また、滅菌を目的として加熱している工程の場合でも、たとえばサルモネラ菌とセレウス菌では危害要因を除去できる手段が異なります。

サルモネラ菌は75℃の1分間の加熱で死滅する一方で、セレウス菌は100℃で30分間加熱しても毒素が消えません。

したがってセレウス菌が付着する可能性が高い場合、サルモネラ菌を滅菌する目的の加熱では効果がなく、危害要因は除去できないということです。

このように誤った工程をCCPにしないためにも、危害要因分析をしっかり行いましょう。

まとめ:危害要因をできるだけ洗い出し事故を防ぐ管理システムを作ろう

危害要因をできるだけ洗い出し事故を防ぐ管理システムを作ろう

HACCP導入手順の6と7では危害要因分析とCCPの設定を行います。

発生のおそれがあるリスクを分析し、対策を考えるプロセスであり、HACCPの非常に重要な部分だといえます。

潜んでいる危害要因を念入りに洗い出しておくことで、危害を防ぎ、万が一発生した場合でも最小限に抑えられるでしょう。

まとめ

  • 危害要因分析ではとくに厳重に管理すべきポイントや工程を洗い出す
  • 危害要因を減らす、または除去するためにCCPを設定する

HACCPチームを中心に従業員全体で危害要因にまつわる情報を協力して集めて分析し、とくに重要なポイントを見定めてCCPを設定することが重要です。

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