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異物同定検査とは?異物混入の原因を突き止め再発防止策を講じる

異物同定検査とは?異物混入の原因を突き止め再発防止策を講じる

異物混入対策食中毒対策

食中毒衛生管理

食品事業において異物混入は避けられません。

どんなに事業主が気を付けて、従業員教育を徹底しても原材料からの異物混入やちょっとした隙間から入り込んだ虫の混入は防げないからです。

そのため、異物混入が起きたときにどのような対応を講じるべきか、事前に知っておく必要があります。

異物混入が起きたときにまずすべきことは、異物同定検査です。

異物同定検査をすることで、異物の成分を確認し再発防止策を講じることができます。

この記事では、異物同定検査とは何か、必要性や検査の流れをわかりやすく解説します。

異物同定検査とは?

異物同定検査とは?

異物同定検査とは、製品に混入した異物がどんな成分なのかを調べるための検査です。

第三者機関に異物の成分を調べてもらうことで、異物が製造工程のどこで混入したのかが予測できます。

異物混入の発生元を予測できれば、今後どのような対策を講じたらよいかを話し合うことができるでしょう。

また消費者や取引先から異物混入を指摘された場合、検査結果をまとめた報告書と改善策を提出することで、信頼を取り戻すことも期待できます。

なぜ?異物同定検査が必要な理由

製品に混入していた異物の成分を調べて、発生源を予測するためです。

混入した異物は製造工程を経て変形していることが多く、見た目ではどんな成分か判断できません。

混入した異物がどんな成分かわからないと異物混入に対する対策を講じることができず、また同じ異物が混入してしまう可能性があります。

異物同定検査により異物の成分を分析し、植物由来か、金属由来か、樹脂由来かまたは動物由来かを確認できます。

!異物同定検査によりわかること

  • 植物由来成分が検出…原材料または従業員の衣類の繊維が混入した可能性
  • 動物由来成分が検出…虫または人毛が混入していた可能性
  • 金属由来成分が検出…製造機器に破損があり、混入した可能性
  • 樹脂由来成分が検出…手袋や包装資材または器具片が混入していた可能性

さらに、異物が製造工程内のどのタイミングで混入したかも予測できます。

ただ異物同定検査で発生源を必ずしも特定できるとは限りません。

しかし検査をすることで、異物混入の再発防止を講じるヒントを得られます。

異物検査結果を待つ間に出来る対策

異物同定検査結果を待つ間に出来る対策があります。

誰が見ても異物が明らかな場合は、検査結果を待つよりもスピーディーに改善策を検討したほうが良いからです。

たとえば、混入していた異物が人毛である可能性が高い場合、従業員の制服が正しく着用されているかチェックする必要があります。

また、明らかに金属片だとわかる場合は、早急に製造機器に劣化や破損がないか急ぎ点検する必要があるでしょう。

これらの場合、異物同定検査をしている間に異物混入事故が再発生してしまう恐れがあるからです。

虫の混入は異物同定検査に加えカタラーゼテストが必要

ただし、虫の混入は明らかに虫だとわかっていても異物同定検査に加えカタラーゼテストをしたほうがよいでしょう。

カタラーゼは多くの生き物に存在する酵素です。

カタラーゼはたんぱく質であり熱により変性して活性を失います。

虫が製造工程内の加熱処理前に混入していた場合、虫のカタラーゼは加熱により変性します。

一方、虫が製造工程内の加熱処理後に混入していた場合、虫のカタラーゼは変性せずそのまま検出されます。

虫のカタラーゼが変性しているかどうかは、見た目では判断できません。

第三者機関に検査を依頼し、カタラーゼ変性の有無を確認してもらいましょう。

異物同定検査の流れ

異物同定検査の流れ

異物同定検査の申し込みから検査結果が出るまでの流れは次の通りです。

異物同定検査の流れ

  1. 異物の外観観察・簡易試験
  2. 有機物の成分を検査
  3. 無機物の成分を検査

ここからは、それぞれの検査について詳しく見ていきましょう。

異物の外観観察・簡易試験

第三者機関に持ち込まれた異物は、まず外観観察と簡易試験を行います。

異物の大きさ、色、形状を確認し、顕微鏡などを使い異物の特徴を確認します。

植物様、動物様、金属様、樹脂様等外観から異物が何であるか推定可能な場合、検査依頼者の指示で成分までは検査せず外観観察と簡易検査で検査が完了する場合もあります。

有機物の成分を検査

外観検査・簡易検査で、有機物(砂糖・樹脂・植物片・肉片・紙など)であることがわかった場合、成分を分析するために赤外分光光度計(IR)やカタラーゼ活性テストを行います。

この検査により、有機物の成分やカタラーゼの変性の有無を調べます。

赤外分光光度計による分析

赤外分光光度計は、有機物と一部の無機物の主成分を特定できる分析機器です。

物質の分子が吸収する光の波長と程度は決まっているため、スペクトルを見ることで、有機物の成分を確認できます。

赤外分光光度計による分析

  1. 波長2.5~25μmの赤外光を異物に照射
  2. 異物を構成する分子が特定の波長の光を吸収
  3. 赤外分光光度計により異物がどの波長の光をどれくらい吸収したか分析
  4. 光の波長を横軸に光の吸収の度合いを縦軸にしたスペクトル(グラフ)を出力
  5. グラフをもとに物質の主成分を特定

カタラーゼ活性テスト

カタラーゼは自然界に広く分布する酵素です。

タンパク質の1つで、過酸化水素水を滴下すると発泡する性質を持っています。

カタラーゼ活性テストとは、異物に過酸化水素水を滴下し発泡の強弱を確認し、カタラーゼ活性を検査するテストです。

カタラーゼが加熱処理により変性している場合、発泡は認められないか、認められても弱く短時間で消失します。

一方、カタラーゼが変性していない場合は、発泡が強く長時間活性し続けるのです。

カタラーゼ活性テストは生物由来の異物、主に虫混入時を対象にしており、製造工程内のどこで虫が混入したかを予測することができます。

無機物の成分を検査

外観検査・簡易検査で、無機物(ガラスや金属片など)であることがわかった場合、蛍光X線分析装置を使用して成分を分析します。

この検査により、異物が機械の破損によるものか、その他の要因により混入したものかを予測できることがあります。

異物同定検査の成分検査は必要?

異物同定検査の成分検査は必ずしも必要ではありません。

事業主の予算や目的、異物の種類によって選択できます必要性が変わってきます。

たとえば、異物混入がクレームによって発覚した場合は、取引先や消費者への報告のため成分検査が必要かもしれません。

一方、社内で異物混入が発覚した場合は、外観検査と簡易検査のみでもよい場合もあります。

ただ、異物が明らかに植物片や金属片だとわかっていても、社内で使用している機器や包材・手袋、原材料等工程に由来するものかどうか知りたい場合は、成分検査も必要でしょう。

このように異物同定検査をどこまでおこなうかは、ケースバイケースで検討する余地があります。

異物同定検査を依頼するときの注意点

異物同定検査を依頼するときの注意点

異物同定検査を依頼するときには、以下の点に注意しましょう。

異物同定検査を依頼するときの注意点

  • 常温劣化する検査対象物はクール便で送る
  • 検査対象物の情報を詳しく伝える
  • 急ぎ検査結果が必要な場合は相談する

これらを注意しないと、異物検査が正確に行なえなかったり、改善策を講じる前に異物混入が再発してしまったりする可能性があります。

ここからは、それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。

注意1:常温劣化する検査対象物はクール便で送る

異物混入していた製品が常温劣化するものの場合は、クール便で第三者機関に送りましょう。

第三者機関に輸送している間に製品が劣化し、異物の検査が正確に行えないことがあるからです。

焼き菓子など劣化しないものであれば、常温輸送でも問題ありません。

注意2:検査対象物の情報を詳しく伝える

異物同定検査を依頼する際には、異物が混入していた製品情報や製造現場で混入が考えられる物質(金属片・プラスチック片など)をできるだけ詳細に伝えます。

製品情報や混入の可能性がある物質をあらかじめ伝えておくことで、より確度の高い検査結果につながります。

注意3:急ぎ検査結果が必要な場合は相談する

検査内容にもよりますが、異物同定検査の申し込みから検査結果が出るまでおおよそ10営業日程かかります。

クレーム対応などで、急ぎ結果を求めている場合は、納期の相談をしてみましょう。

通常納期で依頼し、急ぎ検査結果の問い合わせをしても検査途中であることがあるからです。

急ぎ対応が必要な場合や検査内容で要望がある場合はその旨をきちんと検査会社に伝えましょう。

異物同定検査が終わった後の対応

異物同定検査が終わった後の対応

異物の発覚元に応じて、以下の対応を行います。

クレームによって異物が発覚した場合は、異物同定検査の結果をもとに報告書を作成し取引先やお客様に送付しましょう。

このとき、結果の報告だけでなく自社でどのような改善策をとるのかを記載しておくことが重要です。

もちろん、書面だけの報告にせず、記載した改善策を必ず実施するよう努めましょう。

また異物の成分が原材料由来のものだった場合は、自社での混入に加えて仕入れ先での混入も考えられます。

明らかに仕入先での混入であると思われる場合には仕入れ先にも結果を報告し、改善策を講じるよう求めます。

人毛や虫、衣類の繊維など従業員や社内環境が原因と考えられる場合は、社内の環境設備の見直しや従業員の教育を行います。

異物同定検査は、第三者機関に費用を支払って原因を特定しているのでそのままにせず、これからの食品衛生に活かしましょう。

異物混入対策の1つである「ペストコントロール」については、以下の記事に詳しく書かれていますので合わせてご覧ください。

まとめ

まとめ

食品事業者において、異物混入はどんなに気を付けていても避けられないことがあります。

しかし、避けられないからといって上辺だけの対応をしていたら、再び同じ異物混入が起こってしまうかもしれません。

異物混入が起きたら、まずは異物同定検査を行い、異物の成分を調べましょう。

まとめ

  1. 異物同定検査で異物の成分を調べると発生元が予測できる
  2. 異物同定検査は異物発覚後すぐに申し込むとよい
  3. 異物同定検査後はそのまま放置せず改善策を検討し実施する

異物同定検査により成分がわかれば、異物混入の原因や発生元が予測できます。

異物同定検査の結果をもとに、事業の整備や見直しを行い、異物混入の再発防止を勤めましょう。

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【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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