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希釈とは?洗剤・消毒液の正しい濃度と計算方法

希釈とは?洗剤・消毒液の正しい濃度と計算方法

薬品管理

衛生管理業務用洗剤

洗剤や消毒液は、そのまま使うのではなく、適切な濃度に希釈して使うことが大切です。

「何倍に薄めればいいの?」「ppmって何?」と迷うことも多いのではないでしょうか。

この記事では、希釈の基本から、ppmを使った計算方法、実際の作り方の例までをわかりやすくまとめています。

希釈とは?

食品業界で用いられる希釈とは、食品の調理や加工で使用する原液洗剤や消毒液を適正量の水で薄めることを意味します。

食品業界で使用する洗剤や消毒液の多くは、濃縮された状態で出荷されているためです。

濃縮された原液の洗剤や消毒液を適正量の水で希釈することにより、洗浄効果を最大限に発揮し、食品の残渣や食中毒菌を最小限に抑えられます。

逆に誤った方法で希釈してしまうと、洗浄効果を発揮できずに残渣や菌が残ってしまい、食中毒リスクが高まります。

希釈濃度が高すぎると、十分にすすぎができず、使用する人の健康に影響が出る可能性もあるため大変危険です。

洗剤や消毒液の種類に応じた希釈方法を正しく理解し、適切に実施することは、安全な食品製造に欠かせません。

消毒液の希釈方法

消毒液の希釈方法も基本的に洗剤の希釈方法と変わりません。

しかし消毒液の場合、洗剤よりも元の原液の濃度が濃く、希釈するのに必要な原液量はごくわずかとなります。

そのため%や倍率ではなく、ppmという割合で濃度が示されることが多いので覚えておきましょう。

ppm(ピーピーエム)とは?濃度の単位

ppmとは「parts per million(パーツ・パー・ミリオン)」の略で、液体中のごくわずかな濃度を表す単位です。

次亜塩素酸水や次亜塩素酸ナトリウムなど除菌剤や消毒剤によく表記されていますが、それ以外の液体にも用いられます。

一見「mg」や「ml」と同じような単位に見えますが、ppmは「100万分の1」という割合を示す表現で、濃度を数値で比較する際に使われます。

水の密度を基準にしており、常温の水1リットルは約1kg(1,000,000mg)とされるため、1ppmは1mg/Lの濃度を意味します。

希釈液を作る際には、目標とするppm濃度に全体量を掛けて必要な原液量を算出し、その分だけ水に加えて希釈します。

ppmは%と同じように用いられます。ppmを%に変換した値の一覧は次の通りです。

%(パーセント) ppm(パーツ・パー・ミリオン)
10% 10万ppm
1% 1万ppm
0.1% 1,000ppm
0.001% 10ppm
0.0001% 1ppm

ただし、水以外の液体や温度条件によって密度が変わることもあるため、正確な濃度管理が求められる場合は注意が必要です。

ppmを用いた希釈方法

液体の濃度をppmで表す場合は、基本的に重量比を用います。水溶液の場合、次の関係が成り立ちます。

1mg=1ppm=0.0001%

この理由を順に説明します。水1Lはほぼ1kgであり、1kgは1,000g、さらに1,000,000mg(ミリグラム)に換算できます。

そのため、水1L中に1mgの成分が含まれる状態を1ppmと表現できます。

次亜塩素酸水など、ppmで濃度が示される液体を水で薄めるときは、作りたい液体の量をmg単位で考えると計算がしやすくなります。

具体的には、「目標ppm × 希釈液の体積(L)=必要な原液のmg数」という式で求め、その量の原液を水に加えると分かりやすいでしょう。

例:濃度200ppmの次亜塩素酸水を500ml作る手順

ここからは濃度200ppmの次亜塩素酸水を500ml作るときの手順と計算方法を見ていきましょう。

なお、原液の次亜塩素酸水の濃度は400ppmとします。

①必要な情報を集める

次亜塩素酸を使った除菌液を作るために必要な情報を集めましょう。

除菌液を作成するために必要な情報は次の通りです。

  • 作りたい除菌液の量
  • 作りたい除菌液の濃度
  • 原液(この場合次亜塩素酸)の濃度

必要な情報を今回の例に当てはめると次の通りです。

  • 作りたい除菌液の量│500ml
  • 作りたい除菌液の濃度│200ppm
  • 原液(この場合次亜塩素酸)の濃度│400ppm

②原液の濃度を作りたい除菌液の濃度で割る

次亜塩素酸の原液の濃度を作りたい除菌液の濃度で割って、どれくらい水を入れる必要があるかを確認しましょう。

今回の例の場合は次の計算式になります。

400ppm(原液の濃度)÷200ppm(作りたい除菌液の濃度)=2

濃度の割合の差が2倍あることがわかりました。

③必要な原液の量を計算する

作りたい液体の量を先ほど求めた数字で割りましょう。

これで、目的の除菌液を作るのに必要な原液の量がわかります。

500ml(作りたい200ppmの除菌液の量)÷2=250ml(必要な原液の量)

④必要な水の量を計算する

作りたい除菌液の量から③で求めた原液の量を引きましょう。

500ml(作りたい除菌液)-250ml(必要な原液の量)=250ml

濃度200ppmの次亜塩素酸水を500ml作るには、400ppmの次亜塩素水250mlに水250mlを加えて希釈することで作れます。

ppmで濃度を示している除菌液の計算をするときには、単位をすべてmlとppmに換算してから計算するとわかりやすくなります。

洗剤の希釈方法

洗剤の希釈方法は次のとおりです。

洗剤の希釈方法

  1. 洗剤の選択
  2. 希釈比率の決定
  3. 安全対策
  4. 希釈の実施
  5. 保存
各ステップごとに詳しくみていきましょう。

ステップ1:洗剤の選択

洗浄したい場所や汚染具合に応じて、使用する洗剤を選びましょう。洗剤を選ぶときのポイントは次の通りです。

目的に応じた洗剤を選ぶ

洗剤を選ぶときには、目的に応じた洗剤を選ぶようにしましょう。

たとえば、食材に触れる場所では、たんぱく汚れの洗浄に気を付ける必要があります。

なぜなら、たんぱく汚れは食中毒菌の栄養源となったり、アレルゲンの交差接触につながったりするからです。

たんぱく汚れには、アルカリ性の洗剤が効果的ですが、ここで酸性の洗剤を選択してしまうと、適切な方法で希釈してもたんぱく汚れが残ってしまう可能性があります。

そうなると食中毒リスクが高まるため大変危険です。

油脂や食品汚れを効率的に取り除くことができるアルカリ性の洗剤力の洗剤を選びましょう。

安全である洗剤を選ぶ

洗剤を選ぶ際は、汚れの種類や用途だけでなく、「安全性」にも十分注意が必要です。

食品を扱う現場では、洗剤の成分が食材や調理器具に残留すると、健康被害や異物混入につながるおそれがあります。

そのため、食品添加物規格や食品衛生法に適合した洗剤を選ぶことが基本です。

さらに、移行性や残留性が低く、食材に悪影響を与えない成分であるかを確認しましょう。

選定時には、製品ラベルの成分表示やSDS(安全データシート)を必ず確認し、信頼できるメーカーの製品を使用することが大切です。

ステップ2: 希釈比率の決定

洗剤の容器や取扱説明書の指示に従い、適切な希釈比率を設定しましょう。

ここでは、50倍希釈の洗剤を300ml作る場合の手順と計算方法を見ていきます。

①原液洗剤の量を求める

原液洗剤の量は、以下の計算式で求められます。

作りたい洗剤量÷希釈率=原液洗剤の量

50倍希釈の洗剤を300ml作る場合の原液洗剤の量は、次の通りです。

300ml(作りたい洗剤の量)÷50倍(希釈率)=6ml(原液洗剤の量)

②希釈に必要な水の量を求める

希釈に必要な水の量は①の結果を元に、以下の計算式で求められます。

300ml(作りたい洗剤の量)-6ml(①で求めた原液洗剤の量)=294ml(水の量)

③計算式で求めた原液洗剤と水を合わせる

原液洗剤6mlと水294mlを混ぜ合わせると、50倍希釈で300mlの洗剤が完成します。

ステップ3:安全対策をして希釈

洗剤や消毒液を希釈・取り扱いする際は、十分な換気や専用作業スペースの確保も大切です。

防護具はメーカーや製品ごとに推奨品が異なるため、説明書やSDSを必ず事前確認しましょう。

事故や誤使用時の応急処置方法も現場に掲示しておき、廃液処理は自治体指示やSDS対応に従うことで安全管理を徹底してください。

ステップ4: 保存

希釈した洗剤は、できるだけ使用する直前に作るのが理想です。

とはいえ、使い切れなかったり、清掃前にあらかじめ作っておく必要がある場合もあるでしょう。

その際は、希釈した洗剤が食材や製品に触れないよう、適切な場所に保管します。

誤使用を防ぐために、容器には希釈率・使用方法・洗剤名を明記しておきましょう。

また直射日光・高温多湿・食品の近くを避けるなど、適切な環境で保管することも重要です。

保存中に液の濁りや臭いなどの異常が見られた場合は、使用せず速やかに廃棄することが、食品の安全を守る基本です。

洗剤や消毒液の効果を最大限に使うためポイント

希釈した洗剤や消毒液の効果を最大限に使うためのポイントを5つご紹介します。

洗剤を希釈する場所を決めておく

洗剤や消毒液を希釈する場所を予め決めておきましょう。

従業員が自由にさまざまな場所で希釈をしてしまうと、食材や資材に洗剤が付着する恐れがあるからです。

洗剤を希釈する場所は、食品や資材が周りになく、換気ができるスペースにします。

食品や資材が周りにあると、飛び散って薬品が付着する可能性があるからです。

また希釈時に洗剤に含まれる薬品の匂いで、気分が悪くなってしまうこともあるかもしれません。

気ができる場所にすると、希釈担当の従業員の負担軽減になります。

まとめて大量に希釈しない

洗剤や消毒液は、まとめて大量に希釈せず、その日に使う分だけを作るようにしましょう。

希釈液は保存性が低く、時間の経過とともに洗浄・除菌効果が落ちてしまうためです。

効果の持続時間は製品によって異なるため、使用前に必ずメーカーの指示を確認します。

やむを得ず保存する場合は、遮光容器を使用し、冷暗所で保管するなど管理を徹底してください。

希釈液は光・熱・空気との接触でも劣化が進みます。

また、希釈した洗剤や消毒液には有害成分が含まれることもあるため、保管場所や取り扱い方法に注意が必要です。

製品への混入や、誤って排水溝に流すなどの事故を防ぐためにも、管理ルールを明確にしましょう。

さらに、従業員による濃度のばらつきを防ぐため、濃度チェックや記録の保存、定期的な教育を行うことが、洗剤や消毒液の効果を最大限に引き出すポイントです。

目的に応じた希釈倍率で使用する

洗剤や消毒は取扱説明書や容器に記載してある希釈倍率に従って、希釈しましょう。

決められた希釈倍率よりも、濃度が濃い洗剤だと製造機器や調理器具に洗剤が残ってしまう恐れがあります。

また洗剤の濃度が濃いからといって、洗浄効果が上がることはありません。

洗剤はある一定の濃度を超えると、洗浄効果は一定になるからです。

洗剤の希釈倍率が濃くなればなるほど洗剤が消費されるため、コストが上がってしまいます。

また洗剤の中には、洗剤や消毒液の中に人体に有害な物質が含まれている場合も少なくありません。

濃い洗剤を使い続けると、従業員の健康に影響が出てしまう恐れがあります。

濡れた調理器具に消毒液を使用しない

濡れた調理器具や製造機器に消毒液を使用しないようにしましょう。

水分が付着していると、消毒液の濃度が薄まり効果が落ちてしまうからです。

また調理器具や製造機器に食品残渣や菌が微量でも残っていて、水分が残っていると、菌が増殖してしまう可能性もあります。

洗浄後の調理器具や製造機器をしっかりと乾燥させた後に、消毒液を塗布しましょう。

誰が希釈しても同じ濃度の溶液になるよう工夫

消毒液や洗剤の溶液を作るときは、誰が希釈しても同じ濃度になるよう工夫しましょう。

たとえば、希釈比率の設定や計算を事業者がおこない、原液と水の量を従業員に周知徹底して希釈方法をトレーニングするのも1つの方法です。

しかし日々の業務に追われながら、製造現場で計量カップの目盛りや計量スプーンの杯数を確認し、洗剤や消毒液を作るのは大変です。

そこで、専用のカップまたは容器に水と原液の洗剤を入れて、混ぜるだけで希釈できるよう工夫してみてはいかがでしょうか。

たとえば、50倍希釈の洗剤を500ml作るのに必要な水と原液の洗剤量は次の通りです。

  • 水の量:490ml
  • 原液の洗剤量:10ml

490mlの水は「計量カップがないと作れない!」と思われがちですが、意外と簡単に作れます。

500mlのペットボトルに水を注いだ後、キャップ2杯分の水を捨てればよいためです。

ペットボトルのキャップ1杯は5mlの液体を注げるよう作られています。

つまり、50倍希釈の洗剤を作るには、500mlのペットボトル1本とペットボトルのキャップを用意すれば作れるのです。

50倍希釈の洗剤を500ml作る方法

  1. 500mlのペットボトルに水を注ぐ
  2. ペットボトルキャップ2杯分の水を捨てる(490mlの水ができる)
  3. ペットボトルキャップ2杯分の洗剤(10mlの洗剤)を入れる
  4. よく混ぜる

もちろん、希釈率が40倍や25倍になるとこの方法は使えませんが、使う水の量を500mlまたは500ml刻みで計算できる量にしておくと、作業はかなりラクになるはずです。

洗剤や消毒液の種類を頻回に変えることはないと思われますので、業務効率化と従業員の安全のために原液の容器を入れる専用カップを作ってもよいかもしれません。

希釈する担当者が複数人になる場合は、日々または定期的に希釈後の洗剤が適切な濃度になっているか検証しましょう。

まとめ

製造現場で使用する洗剤や消毒液は、濃縮されて販売されているものもあります。

さらに洗浄力や殺菌力の効果を高めるため、家庭用洗剤や消毒液よりも有害な化学物質が多く含まれていることもあるので取扱いに注意が必要です。

そのため、清掃や洗浄のために洗剤や消毒液を希釈するときには、希釈方法のトレーニングをおこなった従業員が適正量を計って安全に希釈する必要があります。

まとめ

  • 取扱説明書に記載している適正な希釈比率を守らないと洗浄や除菌効果を最大限発揮できない
  • 適正な希釈比率よりも濃い洗剤・消毒液を作っても効果は変わらないしコストのムダになる
  • 洗剤や消毒液の希釈が従業員の負担にならないよう工夫が必要

清掃は毎日おこなうため、洗剤や消毒液の希釈はときに従業員の大きな負担に繋がることもあります。

また薬品を扱う以上、従業員の安全を守るためにも、正しく希釈できる環境づくりは欠かせません。

従業員の負担を減らすためにも、誰が作っても同じ濃度の洗剤や消毒液ができるよう、できるだけ簡単な仕組みを整えましょう。

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【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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ご指摘ありがとうございます
Reply #2 on : 木 10月 16, 2025, 22:11:08
段落【誰が希釈しても同じ濃度の溶液になるよう工夫】の50倍希釈の水の量についてご指摘いただき、ありがとうございます。

ご指摘の通り、水の量は500mlではなく490mlでした。誤った記載となっており、大変失礼いたしました。
正しい数値に修正し、内容を更新いたしました。

今後もお気づきの点がございましたら、ぜひコメントやお問い合わせをお寄せください。

この度は丁寧なご指摘をありがとうございました。

サイト管理者
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Re: 洗剤や消毒液の希釈方法とは?効果を最大限に引き出すための使い方を
Reply #1 on : 木 10月 16, 2025, 15:49:00 Anonymous
水の量490㎖では?

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