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HACCPのコンサルの選び方を現役HACCPコンサルタントが解説!

HACCPのコンサルの選び方を現役HACCPコンサルタントが解説!

HACCP

チェック表

「HACCPを導入し運用しているけれども、この方法が正しいかわからない」このように悩んでいる食品事業所は多いかもしれません。

またHACCPは導入後も、運用しながらよりよい改善策を検討し、実施していく必要があります。

しかしながら、小規模な食品事業所では日々の業務に追われてHACCP運用まで手が回らないこともあるでしょう。

HACCPコンサルタントは、食品の安全に関する豊富な知識と経験をもとに、最適なHACCPシステムを構築します。

この記事では、自社にHACCPコンサルタントは必要か採用するメリット・デメリットや、自社に最適なHACCPコンサルタントの選び方を解説します。

そもそもHACCPコンサルタントは必要なのか?

HACCPの導入・運用には、必ずしもコンサルタントの利用は必要ありません。

厚生労働省の手引書をもとに、自社内で導入・運用することも可能なためです。

しかしながら、いざHACCPを導入・運用しようとすると日々の業務に追われて後回しになってしまうこともあります。

また、自社でHACCPを導入しても「自分たちのやり方が本当に正しいのかわからない」というような困難にぶつかることも少なくありません。

このようなときに、HACCPコンサルタントがいると効率よく適切なHACCPの導入・運用をサポートしてくれます。

HACCPコンサルタントを採用するメリット・デメリット

HACCPコンサルタントを採用するメリット・デメリットは次の通りです。

メリット デメリット
  • 事業者は従業員にはない第三者からの視点があること
  • 衛生管理に対する意識を高めてくれること
コストがかかる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

HACCPでコンサルタントを選び採用するメリット

HACCPでコンサルタントを選び採用するメリットは、事業者は従業員にはない第三者からの視点があることです。

自社内だけの取り組みでは見落としてしまったり、見つけられなかったりする視点は意外と多いものです。

たとえば危害要因をコントロールする必須管理点の設定はHACCPにおいて非常に重要な工程ですが、自社内だけでは見逃したり誤って設定したりするおそれがあります。

HACCPコンサルタントからの視点やアドバイスは、そういったリスクを減らすことにつながります。

また、衛生管理に対する意識を高めてくれるというメリットも挙げられるでしょう。

ついおろそかになりがちな衛生管理ですが、コンサルタントによって適切かつ現実的な方法を提案してもらえることで、取り組みやすくなります。

その結果、従業員全体の衛生管理の意識が高まるでしょう。

HACCPでコンサルタントを選び採用するデメリット

HACCPでコンサルタントを選び採用するデメリットの1つに費用がかかることが挙げられます。

食品安全・衛生管理には大きく分けて3つのコストがあります。

食品安全・衛生管理にかかるコスト

  • 1)食品安全担保のための費用
    製品検査、ふき取り検査、温度計などの購入、機器校正など
  • 2)現場改善のための費用
    不用品撤去、備品、器具、消耗品などの購入、破損した箇所の修繕、補修。清掃作業のための薬剤、備品、業者依頼など
  • 3)運用のための費用
    従業員教育のための時間、従業員の作業服、従業員の健康(検便)、衛生備品などioTツールの利用料、必要に応じてタブレット端末、Wi-Fiなどの環境

このうちHACCPコンサルタントは、「運用のための費用」に該当します。

1と2は、食品製造現場の衛生管理に欠かせないものばかりなので、事業者も費用を出さざるを得ません。

しかし3の費用は、従業員の作業着や健康検査などの費用は必須になりますが、ツールの使用や従業員教育のための時間は、コストをかけなくても自社でできます。

またHACCPコンサルタントの仕事量や事業の規模にもよりますが、数十万円以上のまとまった費用が必要となるケースが多く、決して安いとはいえません。

適切なコンサルタントを選ばないと、せっかくのコンサル料が無駄になってしまうことも考えられます。

また、HACCP導入や衛生管理をコンサルタントに頼り切ってしまうと、自社内にノウハウが蓄積されず、継続的な成長が望めません。

このことから、HACCPコンサルタントは不要だと考える事業者もいるでしょう。

経営を考える上で、このようなコストダウンは大切です。

しかしながら、日常業務をしながら、HACCPの運用を再度見直したり、検証したりする時間を設けるのは至難の業。

さらに、従業員教育も社内教育で、代わり映えなくマンネリ化してしまうと、従業員の衛生管理の意識が薄れてしまう可能性もあります。

そこで、HACCPコンサルタントという第三者を製造現場に招き入れることで、従業員の衛生管理の意識を高めたり、現在のHACCP運用の見直しを図ったりすることができるでしょう。

HACCPコンサルタントの選び方5つのポイントを確認!

食品製造現場において、HACCPコンサルタントを招き入れることは、社内の衛生管理意識を高めたり、HACCP運用を見直したりするきっかけになります。

しかし、適切なコンサルタントを選ばないと、せっかくのコンサルティング費用が無駄になってしまうことも考えられます。

また、HACCP導入や衛生管理をコンサルタントに頼り切ってしまうと、自社内にノウハウが蓄積されず、継続的な成長が望めません。

最終的には、自社内のみで積極的にHACCP運用に取り組めるよう、サポートしてくれるHACCPコンサルタントが理想です。

ここからは、現役HACCPコンサルタントで以下の資格を保有している株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理が、【失敗しない】HACCPコンサルタントの選び方を解説します。

  • FSMS審査員補(IRCA)
  • JFS-A/B規格監査員
  • NSF Japan 食品安全主任監査員
  • 国際HACCP同盟登録JHTC認定 HACCPリードインストラクター
  • 日本HACCPトレーニングセンター エリアオフィサ―
  • 中級食品表示診断士

コミュニケーション能力が高い人を選ぶ

まず重視すべきはコミュニケーション能力が高いかどうかです。

事業者が抱える悩みや目的を的確に捉え、対策を考えて実行するためにはコミュニケーション能力が欠かせません。

もちろんコンサルタントには分析力やリサーチ能力なども重要ですが、それ以前にうまくコミュニケーションが取れないと対応が的外れとなってしまいます。

こちらの話にしっかり耳を傾けてくれるか、わかりやすく解説してくれるかなど、コミュニケーションが取りやすいかどうかをしっかりチェックすることが重要です。

とはいえ、コミュニケーション能力の高さや相性を図るのはなかなか難しいものです。

そこで、ここではコミュニケーション能力が高い人の特徴をまとめてチェック表にしてみました。

次のチェック表を参考に、HACCPコンサルタントのコミュニケーションが上手くいくかどうか判断してみましょう。

!コミュニケーション能力チェック表

  • コミュニケーションツール(電話、ZOOMなど)が会社のツールと合致してる
  • コミュニケーション頻度(週1MTG、月1MTGなど)の相性がいい
  • 企業のカルチャーにフィットした人柄だと率直に思う
  • ミーティングや打ち合わせで事前に議題を知らせてくれる
  • 会議や電話だけじゃなく資料やメールなどのエビデンスが残るツールでコミュニケーションしてくれる
  • 商品や企業のことに関して分からないことはためらわずに質問してくる
  • 専門用語や難しい言葉をわかりやすく別の言葉に置き換えて説明してくれる

チェック表の項目に複数当てはまるコンサルタントであれば、円滑にコミュニケーションが取れてHACCP運用もきっとうまくいくでしょう。

現場の声も汲み取れる人を選ぶ

現場の声を聞き、しっかりと汲み取ってくれる人を選びましょう。

HACCPの取り組みには現場の力が必須です。

したがって上層部や机上の話だけでHACCPの導入を進めてしまうと、現場とのズレが生じるおそれがあり、取り組みがうまくいかないおそれがあります。

たとえばモニタリングは、現実的で現場に無理のない範囲で行う必要があります。

もし現場の声を無視して、過剰な負担のかかる管理手順を設定していしまうと、結果的にきちんとHACCPを運用できないということになりかねません。

現場の声をおろそかにしないことはもちろん、可能であればスタッフの本音を引き出してくれるようなコンサルタントを選ぶとよいでしょう。

自立を促してくれる人を選ぶ

最終的に事業者自らの力でHACCPを運用できるよう、自立を促してくれる人を選びましょう。

コンサルティングを受ける目的のひとつには、最終的に自社内でHACCPを運用できるようになることが挙げられます。

また、コンサルティングを受けるのには費用もかかりますよね。

具体的に何ヵ月後にコンサルタントなしで自立できるようにしてくれるのか、期間を事前に確かめましょう。

ただコンサルタントを採用する前だと、自立までの期間を尋ねても現場の状況が分からないので、答えられないこともあるかもしれません。

そのときは、お試し採用などを行い計ってもらうといいでしょう。

商品や事業に興味・関心を持ち寄り添ってくれる人を選ぶ

コンサルタントはHACCPの構築さえすればよいというわけではありません。

自社の商品や事業に関心や興味を持ってくれる人でないと、信頼関係を築くのは難しいですよね。

また、それらに関する知識がなければ、HACCPを構築するうえでも適切な指導や提案は難しく、適切なコンサルは期待できないでしょう。

現場経験がある人

HACCPコンサルタントはできるだけ現場の経験がある人を選ぶのがおすすめです。

とくに製造現場に精通していることや、さらに品質管理やマネジメントなどの経験があると、より実行力のある提案や指導が期待できます。

契約前に現場を確認してもらい、想定される危害要因や効果的な管理手段をさりげなく尋ねてみると判断の助けになるかもしれません。

選んではいけないHACCPコンサルタントの特徴を確認!

つづいて、選んではいけないコンサルタントの特徴について解説します。

次のようなコンサルタントが現れたら要注意!

注意深く観察し、これらの特徴に当てはまらないかチェックしておきましょう。

!NGなコンサルタント

  • 費用がやたら高額なコンサルタント
  • とにかく決めつけるコンサルタント
  • 経営者/担当者/スタッフの声を聞かないコンサルタント
  • 第三者認証をお金で売り込むコンサルタント

それでは1つずつ見ていきます。

費用がやたら高額な人は選ばない

提示された費用が必要以上に高額な人には注意しましょう。

コンサルティングにかかる費用はどのレベルのHACCP構築を目指しているか、現在の状況などによって大きく変わります。

さらにコンサルタントによっても異なり、一概にいくらといえるものではありません。

また、逆に費用が安すぎる場合にも注意が必要です。予め定められたテンプレートに沿って進めるのみで、個々の状況はないがしろにされるおそれがあります。

いずれの場合も相見積もりをとり、それぞれに比較することをおすすめします。

しかし、費用だけでなく実際に面談をしてから判断しましょう。会社の雰囲気、相性も大事です。

とにかく決めつける人は選ばない

自分の視点だけに頼り、決めつける人には注意しましょう。

HACCPの構築と一概に言っても、その手段やアプローチなどは事業者ごとに異なります。

たとえば同じような製品を作っている事業者だからといって必須管理点が同じとは限りません。それぞれの事業者ごとの環境などで大きく変わります。

しかし以前の経験だけで判断し、「似たような製品だから必須管理点も同じだろう」といった決めつけでは、適切な必須管理点を設定できません。

個々の状況をきちんと確認しこれまでの経験に重きをおくのではなく、現場をしっかりチェックして、その会社独自の提案やアドバイスをするコンサルタントを選ぶことも大切です。

経営者/担当者/スタッフの声を聞かない人は選ばない

現場の声を聞かず、コンサルを進める人には注意しましょう。

前述したように、HACCPの構築には現場の声が必要です。それらを聞かずに進めても、よい結果は生み出せません。

きちんとコミュニケーションを取り、それぞれの声を拾い上げてくれるコンサルタントを選ぶことは非常に重要です。

第三者認証をお金で売り込む人を選ばない

HACCPのコンサルを受ける事業者の中には第三者認証の取得を目的とするケースも多くあり、中には「お金を支払って取得しないか」と持ちかけてくるコンサルタントもいます。

そもそもHACCPの本来の目的は、第三者認証を得る事ではなく、 食品製造の衛生管理を徹底することです。

お金だけ支払って上部だけの第三者認証を得たとしても、食の安全は保たれません。

さらに第三者認証を受けるには必要なステップや検査などが必要であり、そういった行為は許されるものではありません。

まとめ:HACCPコンサルを入れただけで安心するのはNG

相性のよいコンサルタントと共に取り組むことでHACCPのスムーズな導入が実現します。

自社にとって適切なHACCPを構築するにはコンサルタントに依頼するだけで安心するのはNGです。

外部に丸投げするのではなく、あくまで外部の視点を入れるという意識でコンサルを受けるようにしましょう。

まとめ

  • HACCPコンサルタントはスタッフの声に耳を傾けてくれる人を選ぶ
  • HACCPコンサルタントとゴールを共有し取り組む

最終的なゴールは自社の衛生管理を見直し、事故のない安心で安全な商品を消費者に提供することです。

ゴールを見誤らずコンサルタントと協力して、HACCPの構築を行いましょう。

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【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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