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寄生虫による食中毒アニサキス症は自然治癒できる?寄生しやすい魚介類を紹介

寄生虫による食中毒アニサキス症は自然治癒できる?寄生しやすい魚介類を紹介

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新型コロナウイルス感染症も落ち着き、実家に帰省しようと計画している人も多いのではないでしょうか。

実家では、あなたの帰りを待つ家族がきっとご馳走を用意していることでしょう。

その中には、お寿司や刺身など鮮魚が並んでいることもあるはずです。

しかし、鮮魚の中にはアニサキスが潜んでいることもあるかもしれません。

アニサキスは寄生しやすい魚介類があり、事前に対策すれば防げる食中毒です。

今回はアニサキス症とは何か、特徴や治療法、アニサキスが寄生しやすい魚介類をご紹介します。

魚介類を安心して食するためにも、ぜひご覧ください。

アニサキス症は自然治癒できる?

アニサキス症は自然治癒できる?

アニサキス症とは、アニサキスの幼虫が寄生しているサバやイカなどの魚介類を食すことで発症する食中毒です。

アニサキスの幼虫は人の体内では長く生きられず、1週間以内に死滅します。

またアニサキスを食しても多くの場合、無症状または軽い腹痛で済むため、自然治癒で問題ありません。

しかし、アニサキスを食した人の中には、幼虫が胃壁や腸壁に突き刺さり、アレルギー反応を起こすことがあります。

これがアニサキス症と呼ばれるもので、激しい腹痛や嘔吐の症状が現れます。

アレルギー反応による腹痛や嘔吐の症状から解放されるには、アニサキスの除去が有効です。

病院を受診し、胃カメラまたは薬で除去してもらいましょう。

アニサキスによる食中毒(アニサキス症)とは?

アニサキスによる食中毒(アニサキス症)とは?

アニサキス症とは、アニサキスの幼虫に寄生された魚介類を食すことで発症する、食品媒介寄生中症と呼ばれる食中毒の一種です。

寿司や刺身など魚介類を生食で食べる習慣のある日本では、発症しやすい食中毒の1つとなっています。

その証拠に、2021年の厚生労働省の食中毒事件の統計にある患者数を見てみると、アニサキスは354人で第5位にランクインしています。

アニサキス症の種類

アニサキス症は、アニサキスが人体のどこを突き刺したかにより、病名が変わります。

病名 症状
胃アニサキス症 アニサキスが胃壁に突き刺さることで発症する。魚介類を喫食後数時間以内に、激しい腹痛、嘔吐などの症状が表れる。
腸アニサキス症 アニサキスが腸壁に突き刺さることで発症する。症状は胃アニサキス症と同じ。稀に腸閉塞や腸穿孔を起こし、入院が必要なケースもある。
消化管外アニサキス症 アニサキスが消化管を突き破り、腹腔内へ脱出、寄生したときに発症する。肉芽腫を形成するケールもある。アニサキスが寄生した場所に応じて症状が変わる

アニサキス症既往歴がある人は要注意!アニサキスアレルギー

アニサキスアレルギーでは魚介類を食した後、数時間以内に蕁麻疹などの症状が表れます。

アニサキスアレルギーは、生きたアニサキスを食して発症するアニサキス症と違い、死滅したアニサキスを食しても症状が表れます。

そのため、魚介類の生食はもちろんのこと加熱調理した魚介類でも発症することがあるので注意が必要です。

アナフィラキシーショックを起こすと死に至る恐れもあります。 またアニサキスアレルギーは、アニサキス症の既往歴がある人に発症しやすい傾向があります。

もし、魚介類を食した後、蕁麻疹の症状などが現れた場合は、病院受診しましょう。

アニサキス症の発症件数

アニサキス症の過去9年間※1の発症数と患者数は次の通りです。

西暦 食中毒事故件数 患者数
2013年  88  89
2014年  79  79
2015年  127  133
2016年  124  126
2017年  230  242
2018年  468  478
2019年  328  336
2020年  386 396 
2021年  344  354

注釈 ※1 2012年以前のアニサキス症食中毒の患者数・事故数の統計がないため。

アニサキス症の事故件数を見てみると、徐々に増えていることがわかります。

増加の理由の1つに、流通形態や輸送システムの発展が考えられます。

新鮮な魚を日本全国どこでも手に入りやすくなったことから、今まで生食できなかった魚介類も生で食べるようになりました。

食の幅が広がった反面、魚に付着する寄生虫による食中毒に悩まされることになったのです。

アニサキスが寄生しやすい魚介類

アニサキスは元々クジラやイルカの胃の中にいる寄生虫です。

クジラやイルカの体内にアニサキスが寄生すると、糞にアニサキスの卵が混じります。 その結果、クジラやイルカの排泄で、海中にアニサキスの卵が浮遊することになるのです。

オキアミが海中に漂うプランクトンとともにアニサキスの卵を食すと、オキアミはアニサキスの初期の宿主になります。

よって、オキアミなどを餌とする魚介類には、アニサキスが寄生している可能性があります。

その中でも、以下の魚介類はアニサキスが寄生していることが多いと言われているので注意が必要です。

アニサキスが寄生しやすい魚介類

サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカ

一方で、淡水魚や淡水のエビ・カニなどの甲殻類には、アニサキスは存在しません。

また、生魚を餌としていない養殖魚もアニサキスに寄生しにくいと言われています。

しかし、養殖魚でも網の隙間からアニサキスに寄生した小魚が混入し、それを食してしまうとアニサキスが寄生してしまう恐れがあります。

過去には、養殖魚を生食してアニサキス症に感染した事故事例もありますので、養殖魚だからと言って安心はできません。

アニサキスの特徴

アニサキスの特徴

アニサキスの特徴は次の通りです。

アニサキスの特徴

  • 酢やワサビなどの調味料では死滅しない
  • 魚介類の内臓の表面に寄生する
  • 熱に弱い

巷で言われているアニサキスの予防法の中には、間違った情報も多いので、ここで改めてアニサキスの特徴を確認しておきましょう。

酢やワサビなどの調味料では死滅しない

アニサキスの幼虫は、酢やワサビなどの調味料では死滅しません。

巷ではアニサキスは酢で死滅すると誤解されがちですが、酢ではむしろ活発化します。

市販のしめ鯖でアニサキス症が発生しにくいのは、酢の効果ではなく調理前に一度冷凍しているからなので覚えておきましょう。

魚介類の内臓の表面に寄生する

アニサキスは、生きた魚の内臓の表面に寄生しやすい特徴があります。

また魚が死んでしまうと内臓から離れて筋肉に移動してしまうため、アニサキスを除くのが難しくなってしまいます。

熱に弱い

アニサキスは、70℃以上の加熱で死滅します。

アニサキスが心配な人は、魚介類の中心部までしっかり火を通してから食しましょう。

アニサキス症の予防方法

アニサキス症の予防方法

美味しいお寿司やお刺身を食して、激しい腹痛や嘔吐の症状に見舞われるとがっかりしてしまいますよね。

中には、アニサキス症が怖くて魚介類を避けてしまう人もいるのではないでしょうか。

しかし、アニサキス症は予防できる食中毒です。

とくに青魚のサバやアジには、私たちの健康に欠かせないDHAが多く含まれているため、食しないのは非常にもったいない!

ここでアニサキス症の予防方法を確認し、魚介類を美味しく安全に食しましょう。

アニサキスが寄生しやすい魚介類を生食しない

アニサキス症を予防するには、宿主になる魚介類を生食しないことが最も確実な予防方法です。

後ほど紹介しますが、アニサキスは熱に弱く、70℃以上の環境下では死滅します。

また-20℃以下で24時間以上の冷凍処理でも死滅することがわかっています。

アニサキス症は生きた状態で人体に入らなければ、発症することはありません。

目視で取り除く

細菌性食中毒と異なりアニサキスは長さ2-3㎝、丸まっていると直径4ミリ弱なので目視で確認することができます。

よって刺身や寿司を提供する前に目視で確認し、取り除くことでアニサキスを予防できます。

ただ、カツオなどの赤身魚の場合、厚みと色でアニサキスの目視が難しいことがあるので注意が必要です。

この場合は、加熱調理または冷凍処理後に生食提供しましょう。

なお、アニサキスの一種は発光する特性があるので、ブラックライトを当てることで発見しやすくなります。

しかし、アニサキスの中には発光しないものもあるので、ブラックライトは見つける方法の1つとして頭に入れておき、過信しすぎないよう注意しましょう。

鮮魚を購入したらすぐに内臓を取り除く

アニサキスは生きた魚の内臓周りに寄生し、宿主である魚が死ぬと徐々に可食部である筋肉へ移動します。

魚介類を生食する場合、絞めた後すぐに内臓周りを取り除くことでアニサキス症を予防できます。

漁獲からすぐに内臓周りを取り除くことが難しい場合は、アニサキスが可食部へ移動しないよう氷で冷却しアニサキスの動きを封じましょう。

-20℃以下で24時間以上の冷凍

アニサキスは、-20℃以下で24時間以上の冷凍で死滅します。

生食で提供する場合は、業務用の冷凍庫で中心部までしっかり冷凍しましょう。

なお、アニサキス食中毒の原因食品で最も多いのがしめ鯖です。

しめ鯖を提供する場合は、アニサキス食中毒を予防するため、酢で絞める前か後に冷凍処理しましょう。

加熱調理して喫食する

アニサキス症に怯えることなく魚介類を食べたいならば、加熱調理をしましょう。

アニサキスは70℃以上1分の加熱で死滅します。

また火を通すことで、他の食中毒菌も予防できるのでおすすめです。

もし、生食する前にアニサキスを目視で発見したら、加熱調理するメニューに切り替えましょう。

まとめ

まとめ

アニサキス症は、魚介類に付着したアニサキスが胃壁や腸壁に突き刺さり、アレルギー反応を起こすことで発症します。

アニサキスは人の胃腸内では長く生きられないため、自然治癒も可能です。

しかし激しい腹痛や嘔吐を伴う場合もあるので、症状に応じて病院受診を検討しましょう。

まとめ

  1. アニサキスは初期宿主であるオキアミを食する魚介類に多く寄生
  2. アニサキスは熱に弱いので中心部まで加熱調理すれば防げる
  3. 寄生しやすい魚介類を生食する場合は目視で確認する、また冷凍するか漁獲から提供までの温度管理の徹底が必要

流通の発展により、新鮮な魚介類を全国各地に提供できるようになったことから今まで生食できなかった魚介類も生で提供できるようになりました。

その反面、アニサキス症の患者数は徐々に増えています。 とはいえ、アニサキス症を恐れて魚介類を食しないのは非常にもったいないことです。

アニサキス症の正しい知識を身に付け、お客様に安心・安全な食を提供しましょう。

魚介類を食することで発症する食中毒にはヒスタミン食中毒もあります。以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

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【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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