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計量法改正に食品事業者がやるべきことは?自動はかり検定義務化の対応手順を解説

計量法改正に食品事業者がやるべきことは?自動はかり検定義務化の対応手順を解説

「うちのウェイトチェッカー、2027年までに何かしないといけないの?」と感じながら、具体的な対応が進んでいない担当者の方は多いのではないでしょうか。

この記事では、対象機器の判断方法から申請先・費用・経営層への稟議まで、食品事業者が2027年までにやるべきことを解説します。

目 次

計量法改正2027年―食品事業者に何が起きるのか

2027年4月1日、食品工場にとって見過ごせない法規制の期限が迫っています。

対応が遅れると、使用中のはかりが取引・証明に使えなくなり、最悪の場合は出荷停止につながるリスクもあります。

まず、何が変わるのかを確認しておきましょう。

自動はかりが「特定計量器」になり、検定が義務化

2017年の計量法施行令改正により、食品工場などで使われる自動はかりが「特定計量器」に追加されました。

特定計量器とは、取引や証明に使用する際に国が定めた検定に合格しなければならない計量器のことです。自動車の車検に近いイメージになります。

これにより、対象の自動はかりを取引・証明に使用する場合は、指定検定機関による検定を受けることが義務づけられました。

対象の自動はかりを取引・証明に使用する具体的なシーン

食品事業で「取引・証明」にあたるはかりの使用シーンは、大きく次の3つです。

  • 内容量表示のための計量
    「〇〇g入り」と表示して販売する商品が、表示どおりの重量に収まっているか確認する計量
  • 量り売り(計量販売)
    精肉店やスーパーで「〇gあたり●円」のように、重量をもとに販売価格を決める計量
  • 業者間(BtoB)取引の計量
    納品物の重量によって取引金額が決まる場合の計量

また、出荷検査の結果や品質保証の記録として、計量データを取引先の契約書や報告書に記載するケースも「証明」にあたります。

一方、工場内での原材料の調合や仕掛品の抜き取りチェックなど、計量値を外部に示さない内部作業は対象外です。

「計量値をもとに金額が決まるか」「その数値を外部に正式な根拠として提示するか」が、取引・証明に該当するかどうかの判断基準になります。

【2025年9月最新】検定対象は「自動捕捉式はかり」1器種のみ

当初、検定対象は以下の4器種とされていました。

器種 現在の扱い
自動捕捉式はかり
(ウェイトチェッカー・重量選別機)
検定義務あり
ホッパースケール 2025年9月改正で対象外
充てん用自動はかり 2025年9月改正で対象外
コンベヤスケール 2025年9月改正で対象外

2025年9月の法改正により、3器種が検定対象から除外されました。

現在、検定義務が残っているのは自動捕捉式はかり(ひょう量5kg以下のもの)のみです。

ホッパースケールやコンベヤスケールを使用している工場でも、これらは今後も取引・証明に使用できます。

一方、自動捕捉式はかりについては当初の予定通り検定義務化が進んでいるため、注意が必要です。

自社の機器は対象か?判断する2つのステップ

食品工場で使われているはかりがすべて検定の対象になるわけではありません。

「自分の工場の機器は対象なのか」を正確に判断することが、対応の第一歩です。確認すべきポイントは2つあります。

ステップ1│機器の種類と仕様を確認する

まず、使用している機器が「自動捕捉式はかり」に該当するかどうかを確認します。

現場ではウェイトチェッカー・重量選別機・オートチェッカーなど、メーカーや機種によって呼び名が異なりますが、これらはすべて自動捕捉式はかりに分類されます。

ただし、以下のいずれかに該当する場合は検定対象外です。

  • ひょう量が5kgを超えるもの
  • 検査目量が10mg未満のもの
  • 目盛標識数が100未満のもの

ステップ2│使用目的が「取引または証明」に該当するか確認

機器が対象に該当した場合でも、使用目的によっては検定不要なケースがあります。

該当する例

  • 商品に「内容量○○g」と表示するために計量している
  • 出荷検査の計量値を取引先や報告書に記載している

該当しない例

  • 欠品チェック(個数確認)のみを目的とした使用
  • 社内の工程管理のみで、計量値を外部に出さない使用

なお、同一ライン上に複数台のはかりがある場合は、最終的に内容量を確定している1台のみが対象です。すべての台数分の検定が必要になるわけではありません。

判断に迷う場合は、経済産業省が公開している「取引・証明事例集(PDF)」が参考になります。具体的なケースごとに該当・非該当が示されており、現場での判断に役立ちます。

2027年3月末まで―スケジュールと今すぐ動くべき理由

現在使用している自動捕捉式はかりへの使用制限は、2027年4月1日から始まります。

それまでに検定に合格していなければ、取引・証明への使用が法律で禁止されるため注意が必要です。

期限まで残り1年あまりですが、今すぐ動き出さなければならない理由があります。

新規導入機と既使用機で期限が異なる

区分 使用開始時期 2027年3月31日まで
既使用機 2024年3月31日以前 2027年3月31日まで
新規導入機 2024年4月1日以降 検定合格品であることを確認

2024年4月1日以降に新たに導入した機器は、既に検定合格品であると思われますが、使用開始前にメーカーに問い合わせておくと安心です。

既使用機については2027年3月31日が絶対的な期限となります。

2026年度下半期は検定枠が逼迫する可能性あり

全国で取引・証明に使用されている自動捕捉式はかりは約4万台と推計されています。

検定を担う指定検定機関の数は限られており、2026年度に申し込みが集中すると、希望通りのスケジュールで受検できなくなるおそれがあるため注意が必要です。

経済産業省はすでに事業者に対して「2025年度中の早期受検」への協力を公式に呼びかけています。

行政がこうした形で早期対応を求めるのは異例のことです。

検定の申請先・費用・所要時間

検定を受けるにあたって、申請先・費用・スケジュールを事前に把握しておくことが、経営層への稟議をスムーズに進めるうえでも重要です。

申請先は「指定検定機関」

検定を実施できるのは、経済産業省が指定した「指定検定機関」に限られます。

現在、自動捕捉式はかりの検定を行う指定検定機関は全国に6事業者あります。地域ごとの申請先は経済産業省のホームページで確認できます。

申請の際は、使用している機器が型式承認機かどうかによって、必要な書類や検定の内容が異なります。事前にメーカーへ確認しておくとスムーズです。

費用と時間の目安

検定は現地で実施されるため、作業中は機器を止める必要があります。

ラインの稼働スケジュールと合わせて事前に見積りやかかる時間を確認し、稼働スケジュールを調整しておきましょう。

「適正計量管理事業所」の認定で有効期間が6年に延長できる

通常、検定の有効期間は2年ですが、経済産業大臣から「適正計量管理事業所」の指定を受けた事業所では、有効期間が6年に延長されます。

複数台の機器を保有している工場では、長期的なコストと手間を大幅に削減できる制度です。

すでに指定を受けている事業所は、この点を経営層への稟議材料として活用できます。

ただ既に「適正計量管理事業所」の指定を受けている事業所でも、検定義務前に指定申請書記載事項変更届を提出しなければ、期限は延長されませんのでご注意ください。

【参照】 適正計量管理事業所制度(METI/経済産業省)

不合格・故障・廃棄│見落としがちなリスク

検定に向けた準備を進めるなかで、あらかじめ想定しておきたいリスクがあります。

対応が後手に回ると、取引・証明に使えない空白期間が生じる可能性があるため、事前に把握しておくことが重要です。

不合格になったときの3つの選択肢

検定に不合格となった場合、以下の3つの選択肢から対応を検討することになります。

  • 調整・修理して再受検する
    精度の問題であれば、メーカーによる調整・修理後に再受検できます。ただし、修理にかかる期間も2027年3月末の期限に含まれます。
  • 機器を新規の型式承認機に更新する
    修理が困難な場合や、導入から年数が経っている場合は、更新を検討します。
  • 取引・証明以外の用途に限定して使い続ける
    工程管理専用に用途を変更することで、検定なしで使用を継続できます。

猶予期間中に機器が壊れると「新規導入扱い」になる

見落とされがちな落とし穴が、猶予期間中の機器故障です。

修理不可と判断された場合、その機器は新規導入扱いとなり、型式承認機を新たに調達したうえで検定に合格するまで取引・証明に使用できません。

導入から年数が経っている機器ほど故障リスクが高いため、早期の更新検討をお勧めします。

中古のはかりを購入する場合は年式などをチェックして、事前に検定が必要かどうかを確認しておく必要があることも忘れないようにしましょう。

対応ロードマップ5ステップ

自社の機器が検定対象と判明したら、以下のステップで対応を進めましょう。

このロードマップは、経営層への設備投資の稟議資料としてもそのままご活用いただけます。

STEP1|工場内の全自動はかりをリストアップし、対象か否かを確認する

まず、工場内で使用している自動はかりをすべてリストアップします。

機器ごとに、ひょう量・検査目量・目盛標識数を確認し、取引・証明に使用しているかどうかを整理します。

判断に迷う場合は、経済産業省の「取引・証明事例集(PDF)」や「自動はかりQ&A(令和8年3月版)」を参照してください。それでも分からない場合はメーカーなどに問い合わせ

STEP2|型式承認機か否かをメーカーに確認する

機器の銘板や導入時の書類をもとに、型式承認機かどうかをメーカーに問い合わせます。

型式承認機と非型式承認機では、検定時の試験項目や必要書類が異なるため、事前に把握しておくことが重要です。

STEP3|指定検定機関に受検予約を入れる

経済産業省のホームページで地域の指定検定機関を確認し、受検予約を入れます。

2026年度下半期は申し込みが集中する見込みのため、2026年度上半期までの予約を強くお勧めします。

予約の際は、機器の台数・設置場所・型式承認の有無を事前にまとめておくとスムーズです。

STEP4|検定結果をもとに修理・更新の予算を経営層に稟議する

検定の結果、調整・修理・更新が必要と判明した場合は、速やかに経営層への稟議に移ります。

費用の目安やスケジュール、対応しない場合のリスク(出荷停止の可能性)を明示することで、稟議の通りやすい資料になります。

STEP5|合格後の有効期間と次回受検スケジュールを管理台帳に記録する

検定合格後は、有効期間(原則2年)と次回受検の目安時期を管理台帳に記録します。

適正計量管理事業所の指定を受けている場合は有効期間が6年になるため、その旨も併せて記録しておきましょう。検定は一度受ければ終わりではなく、継続的な管理が必要です。

よくある質問(FAQ)

計量法改正に関するよくある質問とその回答をエッセンシャルさんに回答していただきます。

ウェイトチェッカーはすべて検定対象ですか?

すべてが対象になるわけではありません。以下の条件をすべて満たす場合のみ検定対象となります。

  • ひょう量が5kg以下であること
  • 検査目量が10mg以上、かつ目盛標識数が100以上であること
  • 取引または証明に使用していること

いずれか一つでも満たさない場合は対象外です。また、工程管理のみに使用していて計量値を外部に出していない場合も対象外となります。

市区町村が実施する「定期検査」と今回の「検定」は別物ですか?

別物です。混同されやすいですが、それぞれ以下のように異なります。

定期検査 検定(今回の義務)
実施主体 市区町村 指定検定機関
対象 非自動はかり(店頭のはかりなど) 自動捕捉式はかり
周期 2年ごと(巡回) 有効期間2年(自ら申請)

まとめ

計量法改正への対応は、「知っている」だけでは不十分です。

2027年4月1日以降、未検定の自動捕捉式はかりを取引・証明に使用することは法律で禁止されます。対応が遅れると、最悪の場合は出荷停止という事態にもなりかねません。

重要なのは、「期限が来てから動く」のではなく、2026年度に検定枠が逼迫する前に、今から動き出すことです。

まとめ

  • 検定対象は自動捕捉式はかり(ひょう量5kg以下)で、取引・証明に使用している場合のみ
  • 既使用機の期限は2027年3月31日
  • 模擬検定では約1割が不合格。導入年数の古い機器ほど不合格・故障のリスクが高く、早期対応が命綱になる

「うちの機器は対象なのか」「申請の手続きが複雑でよくわからない」という場合は、一人で抱え込まず、まずは専門家へ相談することをおすすめします。

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【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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