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テイクアウト販売は衛生管理に要注意!食中毒リスクを減らす調理のポイント

テイクアウト販売は衛生管理に要注意!食中毒リスクを減らす調理のポイント

テイクアウト食中毒対策

衛生管理

「テイクアウト販売を検討していて、衛生管理が不安。」
「食中毒を起こさないよう、テイクアウト販売はとくに衛生管理に気をつけたいよね。」
テイクアウト販売を考えているなら、重視したい衛生管理の問題。
今回はテイクアウト販売における衛生管理について詳しく解説します。
この記事を読み、衛生管理について正しく理解すれば、安心安全な料理を自信を持って提供できるようになるはずです。
「テイクアウト販売の衛生管理はこれから紹介するポイントを踏まえて対応することで、食中毒防止に繋がります。」
調理のポイントに加え、オペレーションにおける工夫のコツもご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

テイクアウト販売、衛生管理の注意点3選

テイクアウト販売、衛生管理の注意点3選
提供から喫食までの時間が短いイートインに比べ、食べるまでに時間のかかるテイクアウトでは食中毒の危険度がグッとアップ。
普段イートインのみを行っている飲食店がテイクアウトに参入するにあたって、これまでよりさらに衛生管理に気をつけて調理する必要があります。
それではテイクアウトメニューを調理する上で、注意したい3つの衛生管理ポイントをチェックしていきましょう。

テイクアウト注意点1:テイクアウトに適していない食材は使わない

イートインでは問題なくとも、テイクアウトとして提供すると食中毒を発生しやすくなる食材やメニューがあります。
刺し身やレアな肉、半熟卵など傷みやすい生ものはNG。
ひき肉はミンチにする段階で大腸菌が内部に入り込み、きちんと火を通さなければ食中毒リスクが高まるため、ハンバーグやつくねなどはしっかりと中心まで加熱をしましょう。
その他にもテイクアウトとして控えたい食材やメニューは以下の通り。
  • きのこ類
  • 生のフルーツ
  • 炊き込みご飯
  • 貝類(生はNG、加熱する場合も注意を)
  • 常温で置いたままにしたカレーやシチュー
彩りとして入れたいレタスやキャベツなどは生ではなく、きちんと消毒された市販品を使うのがおすすめです。
また、自家製ドレッシングは水が分離しやすく、菌の温床になりがち。
生野菜と同じように市販品で、乳化剤の入ったものを使うと安心です。

テイクアウト注意点2:中心部までしっかり加熱する

肉や魚などは中心部温度計を用いるなどして、 食材の中心温度が75℃以上で1分以上熱する ようにしましょう。
とくに寄生虫が潜んでいることの多い豚肉や、カンピロバクターによる食中毒が発生しやすい鶏肉は注意が必要です。
また条件が揃ったときに菌の増殖が早いと言われているものに、魚貝類に付着している腸炎ビブリオがあります。
食材ごとに気をつける食中毒菌の特性を知ることも大切な仕事の一つです。

テイクアウト注意点3:調理済みの食品は適切な温度管理の上で保存する

調理済みの食品は60℃以上、もしくは10℃以下で保存 することがベスト。
20〜50℃は食中毒菌が発育しやすく、その温度帯を避けて保存することが重要です。
出来上がった料理は小分けにして冷ましたり、持ち帰りの際に保冷剤を使用したりといった工夫が効果的。
また、販売する際には調理済み食品を保冷や保温できるボックスなどに入れておき、適切に保管時の温度管理を注意しましょう。

テイクアウト注意点4:消費期限や保管方法を明記する

提供後はできるだけ早く食べていただけるように、消費期限や保管方法を書いたシールを貼りつけるなどしておきましょう。
店内調理品をテイクアウトする際には消費期限や内容量などを表示する義務はありませんが、お客さま自身にも意識していただけるよう、明記するのがおすすめです。
また、お渡しする際に「○時までに食べてくださいね」などと声がけするとより効果的。
お客さまへの注意喚起も怠らないようにしたいですね。
目安としては調理から2時間以内の喫食が望ましい期限です。

テイクアウト、好ましい衛生管理は?オペレーションの工夫方法4選

テイクアウト、好ましい衛生管理は?オペレーションの工夫方法4選
テイクアウトにおける衛生管理は調理工程だけではなく、オペレーションも工夫し、徹底する必要があります。
イートインの延長のようなオペレーションでの作業は効率も悪く、時間や人員のムダが起こりがち。
その結果、衛生管理がおろそかとなりやすく、食中毒のリスクが高まってしまいます。
以下、テイクアウト販売でできるオペレーション工夫のコツをご紹介します。

オペレーションの工夫1:店舗規模に応じた食数を提供する

店舗の規模に見合った食数を提供する よう心がけましょう。
厨房の広さや設備状況によって提供できる食数は限られます。
また、規模だけでなくスタッフのレベルや熟練度、メニューの種類や数など、調理能力も鑑みることも大切です。
お客さまが食べる時間から仕込みまでを逆算し、安全に作れる量を提供数としたいですね。

オペレーションの工夫2:予約制や売り切り制でムリなく販売する

テイクアウトは事前にオーダーをいただいた分のみ販売する 予約制や、製造した分だけを販売する売り切り制で対応 することで、オペレーションの負担を減らせます。
電話やメールはもちろん、SNSを活用して予約を受け付けたり、一日の製造個数をお知らせしたりすると、お客さまも使いやすく便利。
提供までお待たせすることも減らせます。

オペレーションの工夫3:テイクアウト販売のスタッフマニュアルを決める

注文はどこでどのように受け、会計はどこで行うかなど、テイクアウト販売に即したマニュアルも新たに決めましょう。
また、衛生管理により注意を払う必要があるテイクアウト販売では、調理時のマスクや手袋、ヘアキャップの着用を決めるなど、細かいマニュアルを決めることも大切です。
詳しく マニュアル化することでスタッフ全員に衛生管理意識を共有 でき、結果として食中毒などのリスクを減らせます。

オペレーションの工夫4:事前決済のしくみを取り入れる

専用アプリを活用し事前に注文すると、同時に クレジットカードなどでの決済ができる仕組みを取り入れる方法もおすすめ です。
あらかじめ注文も支払いもすませておけば、店頭では品物を受け取るだけ。
お客さまをお待たせしないのはもちろん、現金のやりとりも避けられて、衛生管理の面からもぜひ取り入れたい方法です。

テイクアウト販売は衛生管理に要注意!

テイクアウト販売は衛生管理に要注意!
ここまでテイクアウト販売における衛生管理の要点について解説してきました。
テイクアウトは調理からお客さまが実際に料理を食べるまでの時間が長く、食中毒や食材の傷みなどのリスクがイートインに比べて格段に上がります。
さらに気温や湿度が上昇すると、よりリスクはアップ。
調理はもちろん、できあがった料理の保管や店舗オペレーションなどにも気を配ることが大切です。
食中毒菌を「つけない」、「ふやさない」、「やっつける」!
あらためて食中毒三原則を確認し、テイクアウト販売ではとくに「増やさない」の衛生管理に気をつけたいですね。

まとめ:テイクアウト販売の実施前に衛生管理を徹底させる

テイクアウト販売の実施前に衛生管理を徹底させる
新型コロナウイルスの影響で需要の増えたテイクアウト販売。
これまでテイクアウトやデリバリーなどに対応していなかった店舗が参入したり、参入を検討したりしているケースは多いようです。
まとめ
  • テイクアウトはイートインよりも衛生管理に気を配る必要がある
  • メニューや調理工程、オペレーションの見直しで食中毒リスクを減らせる
しかし、イートインと同じような衛生管理の意識では危険なこともあり、注意が必要。
テイクアウトでは おいしさとともにできる限り衛生管理を優先し、お客さまに安心して食べてもらえる料理を製造する ことが大切です。
今回ご紹介した衛生管理のポイントを押さえ、おいしく安全なテイクアウトメニューを提供しましょう!
ABOUT ME
【記事監修】株式会社エッセンシャルワークス 代表取締役 永山真理
HACCP導入、JFS規格導入などの食品安全、衛生にまつわるコンサルティング、監査業務に10年以上従事。形式的な運用ではなく現場の理解、運用を1番に考えるコンサルティングを大事にしている。

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