HACCPとは?導入の背景やメリットについて徹底解説
「HACCPとはどんな仕組みなのか簡単に知りたい!」
「HACCPを導入することでどんなメリットがある?」
HACCPとは食品の安全をつくる仕組みのことです。
そこで今回は「HACCPとは?」をテーマとし、制度化された背景や手順などについて解説します。
HACCPについての基本的な情報を知った上でその仕組みを導入し、運用していきましょう。
「HACCPの導入が制度化されました。正しく運用し衛生管理を徹底しましょう!」
あわせてHACCP導入のメリットや認証にまつわる疑問についても解説しています。最後まで内容をチェックしてくださいね。
目 次
HACCPとは?をわかりやすく解説

HACCPとは 食品安全のための衛生管理の手法のこと です。
HACCPの仕組みを運用することで食品製造の際に発生するリスクを効率的に避けられ、安心安全な食の提供を可能にします。
HACCPの7原則12手順

HACCPは手順に沿って導入します。そこで指針となるのが「7原則12手順」と呼ばれる仕組みです。
手順1〜5は手順6〜12(原則1〜7)を進めるための下準備。以下それぞれの手順のポイントを解説します。
■手順1:HACCPチームを編成
社内にHACCPチームを編成、発足させる
■手順2:製品説明書の作成
製造している製品の情報をまとめ、製品説明書として書き出す
■手順3:用途・対象者の確認
製品の用途や対象者を洗い出す
■手順4:製造工程図の作成
原材料の受け入れから納入までの流れを明確にし、製造工程図を作る
■手順5:製造工程図を現場で確認
製造工程図に沿って製造されているか、現場で確認する
■手順6(原則1):危害要因の分析
製品説明書や製造工程図をもとに予測される危害要因をリストアップする
■手順7(原則2):必須管理点(CCP)の決定
リスクの高い工程をCCP(Critical Control Point:必須管理点)としてピックアップする
■手順8(原則3):管理基準(CL)の設定
CCPと決められた工程が安全であるかどうかの管理基準(CL:Critical Limit)を決める
■手順9(原則4):モニタリング方法の設定
定められたCLをきちんとクリアできているかどうか確認するモニタリングの方法を決める
■手順10(原則5):是正処置の設定
CCPで基準をクリアできなかった場合にどのように対応するか決める
■手順11(原則6):検証方法の設定
ここまでのプランは現実的か、妥当性があるか検証する
■手順12(原則7):記録と保存方法の設定
一連の活動を記録に残す
HACCPが2020年6月に日本で制度化された背景

対象をすべての食品事業者と定め、2020年6月にHACCPの導入が制度化されました。
すでに先進国を中心にHACCPは制度化されており、日本もそれにならった形です。
その背景として以下のような点が挙げられます。
HACCPが日本に導入された背景
- これからの超高齢社会において食中毒のリスクが高まると考えられている
- 発生する食中毒の多くが衛生管理の不備が原因である
- 異物混入による回収告知件数が増加傾向にある
これらの問題点をHACCPによる衛生管理体制強化によって改善したいというのが制度化の狙いです。
HACCPを導入することによる5つのメリット

HACCPの導入にはさまざまな手順や工程が必要となり、時間や手間もかかるため面倒だと感じるかもしれません。
しかしHACCPを導入し、適切に運用することで大きなメリットが得られます。それぞれのメリットを詳しく解説しましょう。
メリット1:スタッフの衛生管理に対する意識が高まる
HACCPの導入にはまず中心となって動くチームの編成を行うため、多くのスタッフが衛生管理に携わるようになります。
さらにHACCPの運用はスタッフみんなで取り組む必要があり、会社全体の衛生管理に対する意識が自然と高まることが期待できるでしょう。
メリット2:食中毒や異物混入などが発生したときに原因と対処がすぐにできる
HACCPを導入することで、製造の全工程の衛生管理を見える化されます。したがって万が一のトラブル発生時にもすぐに予測し、対処が可能です。
またどのようなトラブルがどの段階で発生しやすいか、あらかじめ分析されていることもスムーズな対処につながります。
メリット3:事故のリスクやクレームが減少
HACCPによる衛生管理は食中毒の原因となる微生物汚染や、異物混入などの危害を減らすことに直結します。
つまり食中毒事故を起こすリスクや、異物混入などによるクレームの減少にもつながるというわけです。
メリット4:製品に対する顧客の信頼度が高まる
メリット3で挙げたように、HACCPの導入により食中毒事故のリスクやクレームが減少することで、顧客からの信頼度は増すと考えられます。
また、HACCPの認証を取得することで、衛生管理に注力している企業として周囲へのアピールにもつながります。製品や企業としてのブランディングの一環としても活用可能です。
メリット5:食品ロスが少なくなり利益が上がる
導入によって工程や業務が増え、一時的に生産効率が下がることはあるものの、うまく運用できるようになれば食品ロスの減少にもつながります。
衛生管理の基準が明確になることで、同じ品質の製品を常に製造することが可能になり、製造工程のムダが省かれるためです。
食品ロスはもちろん、さまざまなリスクを減らすことにもつながり、結果として利益の向上にもつながるでしょう。
HACCP認証を受ける方法

HACCP認証は認証機関に申請し、審査を受けることが必要です。
認証機関は以下のように大きく3つの種類に分類できます。あわせて認証機関の例もご紹介しましょう。
地方自治体による認証
- 東京都食品衛生自主管理認証制度
- 北海道HACCP自主衛生管理認証制度
- 熊本市食品自主衛生管理評価事業(熊本市版HACCP)
業界団体による認証
- (一社)日本冷凍食品協会「冷凍食品認定制度」
- (一社)日本惣菜協会「惣菜製造管理認定事業」
- (一社)大日本水産会「水産食品加工施設HACCP認定制度」
民間審査機関による認証
- ISO220000
- FSSC22000
- JFS-A/B、C
一概にHACCP認証機関といってもこのように数多くの種類があり、それぞれに維持費用や効果などが異なります。
各認証機関の特徴や役割を知り、 求めるレベルに応じた認証 を選びましょう。
HACCP認証は制度化されていない?

制度化で求められているのはHACCPの考えを取り入れた運用を行うことであり、 認証を受けることまでは求められていません。
HACCP認証を受けることは必ずしも必要ではないものの、第三者機関からのお墨付きをもらうことで、取り組みの信頼性が上がるというメリットがあります。
前述したように企業や製品のブランディングにも役立つため、必要に応じて取得するとよいでしょう。
まとめ:HACCPを導入して製品の信頼度を高めよう

HACCPは難しいイメージがありますが、食品製造における衛生管理をより効率よく行うための手法であり、 手順に沿って行うことでスムーズな導入が可能 です。
運用が軌道に乗ることで、製品の品質が高まり企業全体の信頼度アップにもつながります。
まとめ
- HACCPとは食品安全のための衛生管理の方法
- HACCPを導入することでさまざまなリスクが減らせる
安心安全な食の提供のためにHACCPを導入し、徹底した衛生管理を追求したいですね。
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