「HACCPを導入したいんだけど手順がわからない」
「HACCPでよく聞く7原則12手順ってなんだろう?」
HACCPの導入には決められた手順があります。
そこで今回はHACCPを導入する際の仕組みである「7原則12手順」について解説します。
ポイントを絞って解説するのでで、HACCPの導入もスムーズに進められるはずです。
「HACCPは食品事故を予測・予防するための効率的なしくみ。手順に沿って導入し、安全安心な食品づくりを心がけましょう!」
あわせてHACCP導入にあたり注意すべき点についても解説しています。ぜひ最後までチェックしてくださいね。
目 次
HACCPの導入は手順に沿って実践を!「7原則12手順」とは?

HACCPは食品安全のための衛生管理の手法です。もともとはアメリカで始またHACCPは、今では世界各国でその考え方が実践されています。
HACCPは「7原則12手順」と呼ばれる運営手順に沿って実践することで、食品製造におけるさまざまなリスクを効率よく避けることできます。
HACCPには12の手順があり、 手順1〜5までは原則1〜7(手順6〜12)をすすめるための下準備の段階 です。
なんだか難しそう、どこから手を付けたらいいか分からないなどと思われるかもしれませんが、順を追って行えば難しくありません。
食品安全の仕組みを作るだけでなく、
HACCP導入のメリット
- 品質のばらつきが減る
- クレームやロスが下がる
- 従業員のモチベーションアップにもつながる
など、HACCPの導入にはメリットも多くあります。
面倒だなんて思わずに、ぜひHACCPの導入にチャレンジしてみましょう!
HACCPを導入する際の7原則12手順をそれぞれポイント解説!

まずはHACCP導入の際の7原則12手順をそれぞれポイント解説します。
手順1:HACCPチームを編成
まずは 社内にHACCPチームを編成、発足 させましょう。
多くの人数は必要ありませんが、各部門の担当者と経営層など、予算権限がある方、製造におけるキーマンとなる方をメンバーとすると、導入後もスムーズに運用できます。
手順2:製品説明書の作成
手順2では 製造している製品の情報を整理 します。
以下のような内容を書き出しましょう。
製品説明書に書くべき内容
- 名称や種類
- 原材料
- 添加物
- アレルゲン
- 包装形態
- 容器包装の材質
- 賞味期限もしくは消費期限
この他にも自社で管理している基準などがあれば、あわせて書き出しておきます。
手順3:用途・対象者の確認
手順3では誰が、どうやって食べるのか、 製品の用途や対象者を明らかにします。
一般の小売用なのか業務用なのか、食べるのは子どもや高齢者、病人なのかなど、対象者を書き出しましょう。
あわせて、加熱して食べるのか、そのまま食べるのかなど食べ方も書き出します。
手順4:製造工程図の作成
手順4では 原材料を受け入れて納入するまでの流れ を洗い出します。
- 主原料
- 副原料
- 水
- 梱包資材
に至るまで、すべての原材料の流れを明確にしましょう。
- 受け入れ
- 保管
- 製造・加工
- 包装
- 出荷
までを丁寧に追い、必要に応じてその工程の際の温度や時間なども書き込みます。
手順5:製造工程図を現場で確認
手順5では手順4で作った製造工程図の通りに製造されているか、現場で確認します。
意外と順番が違ったり、工程が抜けていたりすることも多いものです。
現場で実際に確認し、違っていた工程は修正を行いましょう。
手順6(原則1):危害要因の分析
手順6では、これまでに作成した 製品説明図や製品工程図を元に、工程ごとに発生することが予測される危害要因をリストアップ します。
危害要因とは消費者の健康に悪影響をもたらすリスクのことで、次のようなタイプに分別されます。
危害要因3つのタイプ
- 生物的危害:食中毒や寄生虫など
- 科学的危害:アレルゲン、洗剤などの混入や残留農薬など
- 物理的危害:ガラス片や石など異物の混入
これらのリスクに対し、どうすれば安全を確保できるか、問題なく製造できるかについても確認しておきましょう。
手順7(原則2):必須管理点(CCP)の決定
手順6の危害要因分析の中で、もしその危害要因が
- 工程の管理不足により最終製品に残ってしまった
- 喫食をした消費者に食中毒やケガを与える恐れがある工程が導きだされた
場合、この リスクの高い工程をCCP(Critical Control Point:必須管理点/管理が必須な工程)として徹底的に管理 を行います。
たとえば加熱殺菌工程で加熱不足により、最終製品に病原微生物の残存の可能性があると食中毒の事故が起きる可能性があります。
加熱殺菌工程をCCPとして、絶対に加熱不足が起こらないよう徹底的に管理をしようというような考えです。
そのような必須管理をする工程の数に決まりはありません。
製造する食品の特性や製造方法、現場の状況によって違うこともあります。
多ければ良いというわけでもありません。危害要因分析をした結果、CCPはないということもあります。
絶対に起こしてはいけない致命的な食品事故を防ぐ最後の砦となる工程という風にイメージするとわかりやすいかもしれません。
手順8(原則3):管理基準(CL)の設定
手順8では CCPと決められた工程が安全であるか否かを判断をするための基準(Critical Limit) を決めます。
この基準は科学的な根拠やエビデンスに基づいたものである必要があり、HACCPの手引書や文献などを参考に決めるとよいでしょう。
たとえば加熱の工程がCCPであれば、加熱の温度や時間の基準を定めるなどです。
必ずしも数値を基準とする必要はなく、科学的根拠に基づいているのであれば色や形状などを基準とする場合もあります。
手順9(原則4):モニタリング方法の設定
手順9では手順8で定めた基準をきちんとクリアしているかをどのように確認するか、 モニタリングの方法 を決めます。
たとえばCCPで管理すべき温度や時間など、温度計や時計を用いて確認するよう決めるだけでなく、誰が・何を・どんな頻度で・どのように確認するか、など細かく決める必要があります。
手順10(原則5):是正処置の設定
手順10では CCPで基準をクリアできなかった場合に、どのように対応するか 事前に改善方法を決めておきます。
たとえば安全が確認できなかった不適合品を、安全が確認された適合品と混ざらないよう、どのように識別や隔離をするか、さらにその後どのように処置するのかまで決めるといった具合です。CCPの基準をクリアしていない=安全とは言えない製品なので、しっかりと処置の方法を決める必要があります。
手順11(原則6):検証方法の設定
手順11ではここまでの プランは現実的に機能しているか、妥当性があるかを検証 します。
また、実際に決めたプランが実行されているか、工程の記録の確認や担当者にヒアリング、検査などさまざまな角度から定期的に検証する必要があります。
手順12(原則7):記録と保存方法の設定
手順12では 一連のHACCPの活動を記録 に残します。
HACCPを実践した証拠となるだけでなく、何かトラブルが発生した場合の原因究明のサポートとなります。
記録は現場で担当者が、その場でその時に書くのが基本です。
後でまとめて記入したり、消えるボールペンや修正テープを使用したりはせず、正確に記録を残します。
記録の保管はもしもの際に辿れるよう、賞味期限の1.5倍の日数分を保管しておくとよいですね。
HACCPの導入にあたり注意すべき点

つづいてHACCPの導入にあたり、注意したい点について確認しましょう。
注意点1:現場が実行可能なしくみづくり
いくら完璧なHACCPプランを作っても、現場で実行されなければ意味がありません。
現場とのすり合わせも繰り返し行い、従業員の誰もが運用できるプランを作成しましょう。
注意点2:従業員が安心して取り組める雰囲気づくり
HACCPの運用には従業員の協力が欠かせません。しかし、なかなか新しい取り組みが浸透しないこともあるでしょう。
そのため 従業員がHACCPに取り組みやすい雰囲気を作る ことも重要です。
HACCPに関する勉強会を開いたり、なぜこの作業が必要なのか本質的な理解を促したり、形だけでない従業員教育が必要です。
注意点3:導入後も継続的に学習し、常に最新の情報にアップデートを
HACCPのプランは作ったら終わりではありません。
運用を重ね、経験や知識を積み重ねることで、 プランをアップデートしていく必要 があります。
7原則12手順を繰り返し行い、プランの内容を少しずつ改善、向上させて継続的に取り組みましょう。
まとめ:HACCPの導入は手順に沿って実践を!

専門的なイメージのあるHACCPですが、日頃やっていることの見える化です。
実際は筋道に沿って衛生管理を行い、食品事故の予測や予防を行う合理的な仕組みであり、難しく捉えなくても大丈夫です。
まとめ
- HACCPは7原則12手順に沿って導入する
- HACCPは現場で運用しやすくプランニングし、アップデートしていく必要がある
必要に応じて外部の専門家やコンサルタントを頼る という方法もあり、自分たちだけでは難しいと感じる場合には依頼してみてもいいでしょう。
HACCPは手順に沿って実践・運用し、衛生管理をより徹底して、安心安全な食に努めたいですね。
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